20日前場の香港マーケットは、主要85銘柄で構成されるハンセン指数が前日比142.70ポイント(0.57%)安の24980.20ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が60.35ポイント(0.67%)安の8945.88ポイントと5日続落した。売買代金は1444億430万香港ドルとなっている(19日前場は1358億6690万香港ドル)。

 投資家の慎重スタンスが継続する流れ。米金融政策の動向が気がかりだ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は22日、ジャクソンホール会議(各国の中央銀行関係者が集まる国際経済シンポジウム)で講演する。足もとの労働市場軟化を受け、9月利下げは確実視されているが、その後の金融政策動向が見通せない。議長講演で手がかりが示されるかが焦点だ。香港の失業率悪化もネガティブ。香港政府統計処が19日発表した2025年5~7月期の失業率(速報値、季節調整済み)は3.7%と、前期(4~6月期)の3.5%から0.2ポイント上昇(=悪化)し、22年9~11月期以来の高水準を記録している。また、中国では7月の若年失業率が24年8月以来、11カ月ぶりの高水準に達した。消費活動の停滞も危惧されている。
 なお、寄り付き前に発表された最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」に関しては、予想通り銀行貸出の指標となる1年物LPRが3.00%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRが3.50%に3カ月連続で据え置かれた。中国人民銀行(中央銀行)は利下げを急がないとの見方が続いている。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、中枢神経疾患・がん治療薬主力の翰森製薬集団(3692/HK)が7.8%安、オンライン医療の京東健康(6618/HK)が6.4%安、自動車ディーラーの中升集団HD(881/HK)が5.1%安と下げが目立った。
翰森製薬については、第三者割当増資の計画も嫌気されている。
 セクター別では、医薬が安い。翰森製薬のほか、艾美疫苗(6660/HK)が5.6%、緑葉製薬集団(2186/HK)が4.5%、康希諾生物(6185/HK)が4.0%ずつ下落した。
 家電やスポーツ用品、外食など消費セクターもさえない。海信家電集団(921/HK)が2.6%安、海爾智家(6690/HK)が2.2%安、李寧(2331/HK)が2.0%安、安踏体育用品(2020/HK)が1.3%安、九毛九国際HD(9922/HK)が4.8%安、呷哺呷哺餐飲管理(520/HK)が2.4%安で引けた。
 半面、中国の銀行セクターは強含み。中信銀行(998/HK)が1.1%、交通銀行(3328/HK)が1.0%、中国工商銀行(1398/HK)が0.9%、中国農業銀行(1288/HK)と中国銀行(3988/HK)がそろって0.7%ずつ上昇した。
 そのほか、主要企業の決算発表が佳境入りする中、業績動向を手がかりにした物色も活発化している。予想を上回る中間5割増益で光学部品OEMの舜宇光学科技(2382/HK)が6.6%高、4~6月期の赤字縮小で新興電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車(9868/HK)が4.2%高。ほか、キャラクター商品「Labubu」が世界的な人気を集めているフィギュア・玩具の泡泡瑪特国際集団(ポップ・マート:9992/HK)は8.6%高。中間利益が5倍増となったうえ、米州の売上高が12倍に拡大した。
 本土マーケットは小幅続落。
主要指標の上海総合指数は、前日比0.06%安の3725.22ポイントで前場取引を終了した。医薬が安い。不動産、公益、保険・証券なども売られた。半面、銀行は高い。資源・素材、消費関連、自動車も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
編集部おすすめ