江蘇省南京市では、多くの飲食店が肉質を改善する目的で、「嫩肉粉」と呼ばれる粉を使っている。「腐りはじめていても、水洗いして嫩肉粉を使えば、新鮮な肉と同じ味・食感」になるので、“重宝”されているという。
チャイナネットが報じた。

 特に焼肉店の場合、「嫩肉粉」を使っているケースがほとんどという。羊の焼き肉が主流だが、南京市周囲は羊の産地でないため、冷凍されて遠方から輸送されてくる。「嫩肉粉」を加えれば、「新鮮な肉」になってしまう。その他の料理でも、「嫩肉粉」は一般的に使われている。

 中国では国家基準で、食品添加物として「嫩肉粉」を認めている。
主成分はたんぱく質分解酵素だ。しかし実際には、リン酸塩や炭酸ナトリウム、さらに発色や風味を増すために亜硝酸塩も加えられている。

 最大の問題は亜硝酸塩だ。ハムなどの製造で一般的に使われているが、1キログラム当たり500ミリグラムまでと定められている。市販されている「嫩肉粉」を、「説明書」通り使うと、肉1キログラムあたり3180ミリグラムの亜硝酸塩を摂取する計算になる。腐敗しはじめた肉に使う場合、さらに使用料を増やすことが一般的だ。
亜硝酸塩は300-500ミリグラムを摂取すると中毒症状を起こし、ひどい場合には死亡するとされる。少量でも食べ続ければ、発がん性があるとの指摘もある。

 「嫩肉粉」をどの程度使うかは、「店の経営者の良心次第」という。30年以上にわたり調理師を務め、2009年に定年退職した鄭幼華さんは、「私は使う気になれなかった」と断った上で、「多くの飲食店で使っている。口当たりとコスト削減のためだ」などと説明した。使用のテクニックもさまざまという。
鄭さんは「まして、自分の家で食事を作るならば、絶対に使わないよ」と述べた。(編集担当:如月隼人)

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