日本のネットおたくに人気絶大だ、トップアイドルグループだ、近々写真集が発売され予約が80万冊もはいっていると中国で報道された在日華僑少女3人組アイドル「Angel Girl」について先日、知り合いのIT業界関係者と盛り上がった。

 日本人も中国人も誰もそんなアイドルが存在しているなど知らなかった。
取材をしようにも、その所在がつかめない。その歌声を聞いてみたいと、ネット検索してもない。ツイッターやマイクロブログがないかと思って探してみてもない。百度知道という、中国ネット上の質問コーナーでAngel Girlのマイクロブログのアドレスを教えてほしい、という質問がでていたが、その答えにはこうあった。「あれはうそです。そんなグループもともとありませんよ。百度と百度掲示板にしか、彼女らについての資料はありません」。

 おそらく、中央宣伝部がしこんだ宣伝工作であろう、というのが、そのIT業界関係者の認識のようだ。幻の華南トラのフェイク写真を堂々と国営新華社通信が配信する国であるから、いまさら幻のアイドルをネットニュースが報じたところで、驚くほどではない。Angel Girlについての最初のニュースは10月19日、日本メディアの報道によると、“日本十大オタク女神”に林志玲が選ばれた、という見出しの新快報の記事中で紹介された。この日本十大オタク女神というファン投票は某雑誌とコミュニティサイトの共催とのことだが、こんな投票が行われた形跡はネット上にない。次に22日にミリタリールックの写真がマイクロブログで公開されて60万件アクセス、とネットニュースで流れたが、そのマイクロブログの所在はわからない。
その後「中国の釣魚島を守る」といったバナーと一緒に写っている写真もネットニュースで流れると、これは「反中ムードの強い日本で、大手メディアには排斥されながらも、ネットではトップアイドルとして支持を集め、中国の立場を代弁している彼女らのストーリーを語ることで、ネット上の反日ムードを抑制させようという情報操作ではないか」という見方が広がった。

 この手の幻報道は中国ではこれまでも、ままあった。中国人の方も「これうそだよ」「ふーん」で済ましてしまうことが多い。しかし「ふーん」では本当はすまない虚報も実はたくさんある。GDP、失業率などの統計ものなどはそうだろう。

 中国という国のかじ取りをしている当局者、指導者たちは、意図があって情報操作や情報統制をしているのだろうけれど、そのツケというのは必ず返ってくるはずだ。虚偽を本当のことと報道し続けると、自身も真偽が分からなくなって、国の行く先を見誤ってしまうこともあるのではないだろうか。中国の最近の外交判断にどうも的確さを感じないので、老婆心ながら、そういう心配が頭をもたげてくる。(編集担当:三河さつき)

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