ブラックサンダーは台湾で「黒雷神(ヘイレイシェン)」などと呼ばれている。台湾の大手食品会社統一企業が米セブン‐イレブンとの契約で展開している統一超商(統一セブンイレブン)が2011年に日本からの輸入販売を始めた。2013年秋にチョコレートをさらに厚くコーティングしたBIGサンダー(ビッグサンダー、台湾では大雷神=ダーレイシェンなど)も販売されることになって、両商品の人気が爆発した。SNSやスマートフォンのメッセージアプリが急速な人気と話題の拡大に影響したという。
あまりの人気と品薄に、人々はやきもきした。大量入荷して転売しようともくろんだ人もいる。ところが、インターネットに掲載された「日本から大量入荷可能」などという文句を信じて代金を払い込んだところ「だまされた!」というケースが発生。詐欺事件が相次いでいるという。
子どもが体調を崩したケースでは、原因は「あまりにも大量にブラックサンダーを食べつづけたため」との見方も出ている。
台湾での人気は日本にはねかえった。
東京の都心にある某コンビニエンスストアでは、店の外に「黒雷神、大雷神あります」との看板を出した。ブラックサンダーやBIGサンダーを求める台湾人が相次いだためという。ただし同コンビニはしばらくして、看板を引っ込めた。箱ごと大量に購入する人が相次いで、品薄になってしまったからという。
上記コンビニには台湾人店員がいるが、「(台湾から)とにかく送ってほしいという連絡が相次いで、本当に困っています」と、困惑を隠せない。
発売元の有楽成果は17日、BIGサンダーについて「販売予測を大幅に上回る状況が続いたため、商品の供給が間に合わない状況に至りました」として、同製品の販売を休止すると発表した。
すると、台湾メディアは、「販売休止。台湾にはいつ入荷するのか?」(自由新報)、「更新情報。最も早くて5月には台湾に供給再開」(アップルニュース)など、次々に報道。ブラックサンダーやBIGサンダーに対する強い関心に突き動かされたような報じぶりだ。
さらに、「台湾製は日本製の味わいに及ばない」などと、菓子製造について日本の高い水準を評価する解説も発表されている。
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◆解説◆
ブラックサンダーの発売は1994年で、有楽製菓が世に送ったロングセラー商品だ。2008年に北京五輪で銀メダルを獲得した男子体操の内村航平選手の「好物」であることが知られ、売上が急増した。また安倍晋三首相も「大好きで、よく食べる」と自ら語り、周囲にも勧めているという。
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台湾でブラックサンダー、BIGサンダーの人気が異常に盛り上がった背景には、「話題が話題を呼んだ」、「極端な品薄になったので、大量に手に入れれば金を稼げるのでは」といった“思惑買い”の要素があることは否めない。
日本でも1980年代ごろ、中国製の発毛剤や「やせる石鹸(せっけん)」が大ブームになったことがある。当時の日本人の間には「中国は伝統文化にもとづく、神秘的な商品があるのでは」という気持ちが強く、中国製品の質に対する不信感もそれほどなかった。
台湾でブラックサンダー、BIGサンダーの人気が盛り上がった大きな背景に、日本や日本の商品に対する信頼感や親近感、尊敬の気持ちがあることは、間違いない。(編集担当:如月隼人)
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