論説は冒頭部分で、「文化的割引(cultural discount)」という考え方を紹介。カナダ人専門家のコリン・ホスキンスとロルフ・マイルスが1998年代に提唱した概念で、例えばテレビや映画作品などが制作国以外の国では文化背景の違いにより評価が違ってくる現象を指す。
分かりやすい例が言語で、英語が分からなければ英語で書かれた書籍や新聞は「価値がない」ことになる。中国語が分からない人には京劇や書道などの中国の伝統も「文化的価値なし」ということになる。
論説は「中国はすでに世界第2の経済体になったのに、中国の文化産業は低迷を続けている」と指摘。一例として、欧米から中国への書籍の輸入は中国から欧米への輸出の1000倍以上と紹介した。
論説は状況打開のために、世界各国それぞれについて、「文化的割引」の状況を知るための情報の収集と整理を行うべきと主張。価値観、文化と信仰、審美面における傾向などをよく知れば、「文化関連商品」を売り出す際に、「文化的割引」の悪影響を低減することができるとの考えを示した。
**********
◆解説◆
海外でビジネスを展開する場合には、相手側のさまざまな「文化背景」を綿密に知るべきではあるが、文化の差異が相手側による「評価の割引」にはならない場合もある。
例えば、戦後のテレビ放送開始から間もないころ、日本では米国で制作されたドラマが大きな人気を得た。「家電製品があふれ、外出は大型車で」という、貧しかった日本人してみれば“夢のような”状況が描かれ、「明るく開放的な家族関係」、「ユーモアに富んだ会話」も日本人視聴者を魅了した。
当時の日本人が米国製ドラマを評価した背景には、米国そのものに対するあこがれと尊敬があったはずだ。
光明日報の主張のように、「輸出相手の文化的背景の研究」が有意義であることに間違いはないが、「文化関連商品」を受け入れてもらうためにさらに重要なのは「国や社会として評価され尊敬される」存在になることと思われる。(編集担当:如月隼人)(写真は北京市内で2014年12月に開催された拓本の展覧会。CNSPHOTOが配信)
【関連記事】
日本は「中国文化が残る先進国」・・・中国人観光客にとって魅力的な国!
「韓国起源説」にあるコトことないコト?・・・明らかな「でっち上げ」も存在した!?
わが国から伝わった漆器、日本で「すごいこと」になっていた
日本には「役割システム」がある!・・・海外でも成功する日本企業
酒すら信じられない中国社会・・・「世界的ブランド」を輩出できるわけがない