台湾で3日、第二次世界大戦の「中華民国戦勝」を祝う軍事パレードが実施された。同パレードでは、現在の対日関係との兼ね合いが問題になった。
批判も出ていた現役の空軍戦闘機に描かれた「日本軍機撃墜マーク」などは消されたという。台湾外相は改めて、「事実と異なった」「日本と台湾は友だちだ」などと表明した。

 問題視されたのは、台湾空軍の現役戦闘機のIDFとF-16数機に、日中戦争当時の「フライング・タイガース」の塗装がほどこされ、日本軍機の撃墜数を示す「日の丸」も描かれたことだ。フライング・タイガースは戦争当時に米国が「義勇軍」の名目で中国に派遣した空軍部隊を指す。主に中国とタイなどの国境空域で、日本陸軍の加藤隼戦隊と死闘を繰り返したことで知られる。

 6月になり、7月3日の行事に参加する現役空軍機に施された塗装、特に「日本軍機撃墜マーク」が疑問視されるようになった。民進党の黄偉哲立法委員(国会議員)は「新しい戦闘機であるIDFやF-16は日本軍と交戦していない。今、台湾と日本は敵対していない。逆に友好状態だ。日本軍機を撃墜したシンボルとして日本国旗を用いることは、考えねばならない」と批判した。

 台湾の林永楽外相は6月30日になり、日本外務省から「個人のルート」を通じて「第二次世界大戦を記念する以外の意図がないよう、配慮してほしい」との申し出があったと説明。ただし、「圧力ではなかった」と強調した。


 台湾の空軍司令部も同日、「世界の慣例と各界の意見を受けて」として、現役戦闘機から戦時中の塗装を除去すると発表した。

 中国大陸では、大手ポータルサイトの新浪網が、空軍機の塗装除去の報を受け台湾では「腰ぬけ」、「釣魚台(尖閣諸島の台湾側通称)を取られて、何を遠慮している!」などの批判が高まったと報じた。ただし台湾ではむしろ、空軍が方針を二転三転したことが「国の品格を落とした」とする批判が強い(台湾メディア「アップル・デーリー」など)。

 台湾ではその他にも、戦勝記念について軍の「時代考証」が杜撰(ずさん)だとの批判が出ている。国防部は6月30日に、日中戦争に参戦した兵士だった高齢者数人に当時の軍服を着用してもらうイベントを開催したが、空軍指揮官が用いた飛行帽と風防ゴーグルが日中戦争時の者でなく、中国人民解放軍が1950年代に使用した「59式」だったと指摘され、空軍司令部が翌7月1日に謝罪した。

 台湾では最近も、徴兵を宣伝するポスターに誤って解放軍の行軍風景の写真を使ったことで、軍への批判が出た。(編集担当:如月隼人)(写真は台湾メディア東網の記事頁のキャプチャー。写真の人物は空軍機塗装問題について説明する林永楽外相)


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