中国メディア・大河網は23日、排卵誘発剤の濫用によって中国国内で多胎児が増えているとし、河南省では25歳の女性が「9つ子」を妊娠するケースが発生したと報じた。

 記事は、河南省南部の農村に住む25歳のこの女性が以前流産を経験しており、現地の診療所の医師によって排卵促進剤を処方され、服用していたことを紹介。
今から半月ほど前に妊娠していることに気づいた女性が病院で診察を受けると、お腹の中に9体の胎児がいることが判明、悩んだ末に今月21日に省の婦人・乳幼児保健院に赴き、胎児を減らす申請をしようとしたと伝えた。

 そして同院の生殖医学センター副主任が「以前6つ子、7つ子から胎児を減らすことはあるが、9つ子から減らすというのはリスクがあまりに大きすぎる」とし、ほかの専門家数人と協議のうえ今回の出産をあきらめるよう女性に提示したこと、諦めきれない女性が北京に行ってチャンスがないか試す決意をしたことを紹介した。

 そのうえで、同センターの副主任が「自然な妊娠で双子になる確率は89分の1で、3つ子は89の2乗分の1、4つ子は89の4乗分の1になる」と説明する一方、ここ数年双子や三つ子以上の胎児をもつ妊婦が急増していると語ったことを伝えた。また、その原因について同センターの主任が「基本的に、(排卵誘発剤などの)薬品によるもの。非常に危険だ」とし、大部分が小さな診療所で排卵誘発剤を使用して妊娠が促された結果であると分析したことを紹介した。

 記事は、同センターで今年1月から8月までのあいだに52例の胎児を減らす手術が行われ、7つ子を5つ子に、6つ子を4つ子に、5つ子を3つ子に減らしたケースがそれぞれ1件ずつあったことを併せて伝えた。そして、同センターの主任が「盲目的に多胎妊娠を求めないようにして欲しい。なおのこと、排卵誘発剤を好き勝手に使用してはいけない」と注意を呼びかけたとした。

 中国で多胎児が望まれる風潮があるのは、やはり「1人っ子政策」がある程度影響していると言えそうだ。そして、薬品の濫用が問題になっているのは排卵誘発剤だけではない。薬品の濫用は製薬会社と医療現場の癒着にもかかわって来る社会的な問題だ。中国の医薬衛生業界は、市民のの健康を追求すると同時に、業界の「体質改善」にも取り組まなければならない。
(編集担当:今関忠義)(イメージ写真提供:123RF)


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