お年寄りのウエイターが料理を運んでくる、お客と会話をする様子を映し出し、時にはいろいろなゲームにも挑戦する。ただそれだけのバラエティー番組が中国で大きな話題になった。
中国メディア魯網がこのほど、「なぜ、これほど多くの人が涙するのか!」と番組を特集している。評価サイトのドウバン(豆瓣)では9.3という史上最高の評価を獲得し、昨クールの放映終了後、早くもシーズン2に関する話題が盛り上がっている。実は、この番組の人気の秘密は、なんとウエイターが全員「アルツハイマー型認知症」の患者なのだ。

 平均年齢70歳以上のウエイターは注文を忘れてしまうし、時には自分で招待したお客さえ、来店時には忘れてしまう「金魚のような記憶力」の持ち主だ。しかし、「忘れられないレストラン(忘不了餐?)」というタイトルも示すように、このバラエティー番組は視聴者に忘れられない印象を残している。

 自分で招待した親しい友人の顔を一時は忘れてしまってはいても、名前を聞き、しばらく会話をするうちに突然記憶がよみがえり、互いに抱き合い涙を流す。
「アルツハイマー型認知症」患者でもあるウエイターと、招待された客たちのリアルな会話に視聴者は笑い、涙を流す。同時に、視聴者は、こうしたお年寄りたちの姿を通し、アルツハイマーとは何か、家族とは何かについて考えさせられているのだ。

 現在、中国も高齢化社会に突入しつつあり、高齢者の10人に1人が認知症の問題を抱えている。そして認知症患者の半数がアルツハイマーの症状を訴えている。とはいえ、多くの人たちのこうした症状についての理解はあまりなく、こうした病気への負のイメージが先行している状況だ。

 まさに、日本でも話題なったイベント「注文をまちがえる料理店」のバラエティー版とも言えるこの番組。
この「忘れられないレストラン」を通して多くの中国人はアルツハイマーについて正しく理解し、多くのお年寄りたちもいくつになってもできる限り社会生活に参加する勇気をもらい、多くの人たちに忘れられない印象を残しているようだ。(イメージ写真提供:123RF)


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