中国に進出した外資系大手スーパーが軒並み中国資本に身売り、撤退している中、唯一高笑いをしている企業がある。それがコストコだ。
8月27日に上海でオープンした新店舗には来店者が殺到。入店数が予想をはるかに上回ったため、翌日からは一日2000人の入場制限がかかった。今日も店舗の外は長蛇の列ができ、店舗の中も熱気に包まれている。

 他の外資系スーパーに比べるとかなり出遅れた感が否めない出店タイミングで、コストがこれほど成功できたのはなぜか。中国メディアはその成功の秘訣を分析している。

 その理由の一つが、有料会員制度。以前に比べて若い世代は会員費を払ってでも安くていいものを手に入れたいと願っている。今は、会員制度に対してさほど抵抗がなくなっているのだ。さらに、この世代が欲しいものは単に安いものではなく、安くていいもの。コスパさえ優れていれば、会員費は十分必要経費と感じているのだ。

 さらに、そろそろネットショッピングに飽きてきた若い世代は、買い物に刺激的な体験を求め始めていることも理由の一つだろう。実際、多くのネットショップサイトが実店舗の出店を模索している中、コストコはすでにこれまで消費者にショッピングがもたらす新鮮な体験を提供してきた。
その成功モデルが今の若い世代のニーズに見事に合致したのだ。

 今後、こうした成功モデルが中国でも容易に模倣されるに違いない。少子高齢化や、お一人様世帯が増加する中国大都市で、大容量を中心とした商品を取りそろえるコストコの強みが、どこまで活かせるか。さらに、若い消費者の心をつかんで離さない商品開発などが今後の生き残りのカギを握ることになりそうだ。(イメージ写真提供:123RF)


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