中国メディア・中国新聞網は16日、中国のネット上で飛ぶように売れていた「日本の匠が作った鉄鍋」が、中国の工場で作られていたことが明らかになったと報じた。
記事は、中国のECサイト上で昨年、日本の「伊藤製作所」なる会社の「伊藤慧太」という人物が手作りしているという触れ込みの鉄鍋が飛ぶように売れたと紹介。PR動画では作務衣を着た「伊藤慧太」氏がにこやかに「この質感の鉄鍋は決して時代遅れではなく、匠の心の伝承である」などと語り、鉄鍋の持ち手部分には英語で「メイドインジャパン」の刻印が施されていたと伝えた。
また、「伊藤製作所」は1892年ごろに創始者の「伊藤穂高」が鋳物に魅せられて師匠に学び技術を磨き、そこから「伊藤慧太」氏まで4代にわたり鉄鍋一筋で匠の技を伝承してきたとの紹介や、これまでに「日本無形文化遺産伝統工芸賞」「大阪文化奨励賞」などの受賞歴を持つといった説明がなされていたとしている。
そして、「伊藤一家」が代々技を受け継いできた鉄鍋の価格は1つ800~1400元という値段にも関わらず、「一生に一つだけのことをする」という理念が多くの中国人消費者の心を動かし、昨年12月現在で少なく見積もってもECサイトで3000万元以上の売り上げを記録するほどの人気を博したと伝えた。
その上で、昨年末に中国版ツイッター・微博上で「鉄鍋が中国国内の工場で生産されている」との情報が暴露され、「伊藤慧太」とされる人物が実は懐遠という中国人俳優だったことが明らかになり物議を醸したと紹介。行政も動き出し、上海市閔行区の市場監督管理局が通報を受けて調査を行い、問題の製品を差し押さえる強制措置を取ったとした。
記事によれば、「伊藤製作所」の宣伝資材に用いられていた創始者の写真は志賀直哉、2代目の写真は高村光太郎のものだったという。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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