石油原料を新たに使わないPETボトル 軽量で丈夫、低環境負荷 自治体で循環利用加速
藤沢市のセブン-イレブンに設置されたPET回収機
新たな石油原料を使わずにペットボトル(PET)を循環利用する動きが各自治体で加速している。

PETは、軽量で丈夫で運搬時の二酸化炭素(CO2)も瓶や缶容器に比べて排出されにくいといった特徴がある。
リサイクル率も現在85.8%と高い水準にあり、PETはそもそも環境負荷が低い容器であるが、脱炭素社会など環境意識の急激な高まりを受け、飲料業界が一丸となって取り組んでいるのがPETの100%有効利用。中でも、広がりを見せているのが、使用済みPETを新しいPETへと再生するボトルtoボトルと呼ばれるリサイクル手法だ。

昨年8月には全国清涼飲料連合会(全清飲)が旗振り役となり、東京都と飲料業界でコンソーシアム(共同事業体)を設立してプラスチック循環利用の促進を宣言。そのキックオフ会議で、小池百合子都知事は「新たな化石燃料を使うことなく、使用済みのプラスチック製品を再び同じ用途で使用可能なプラスチックに戻していくことが水平リサイクルに不可欠な課題。ボトルtoボトルを大きな流れにしていきたい」と意欲をのぞかせた。

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藤沢市のセブン-イレブンに設置されたPET回収機 各自治体と協定を結び、PET回収機による回収でボトルtoボトルに取り組むのは、日本財団とセブン‐イレブン・ジャパン。

セブン―イレブンでは17年から店頭へのPET回収機の設置を開始し、東京都・埼玉県・茨城県・沖縄県の407店舗(20年9月時点)で稼働し、1千台の稼働を目標に掲げる。昨年は、日本財団とともに神奈川県・藤沢市と横浜市でもPET回収機の設置を開始した。

今年の動きとしては、兵庫県の東播地域(高砂市、加古川市、加古郡稲美町、加古郡播磨町)が、サントリー食品インターナショナルと「ボトルtoボトル リサイクル事業」に関する協定を締結。全国初の取り組みとして複数の自治体の輪の中でPET水平リサイクルを推進している。

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東播地域の回収PET(ペットボトル)
東播地域の回収PET(ペットボトル) 東京都葛飾区も今年、同区が集積所などから回収したPETを100%ボトルtoボトルでリサイクルする方針を固めた。

ボトルtoボトルリサイクルは、使用済みPETを繊維や食品トレイにして一度だけ再利用するカスケードリサイクルに比べて、繰り返し利用できるという点で環境にやさしい手法とされる。


そのためには高純度のきれいな状態で回収することが求められることから、葛飾区では正しい分別排出の啓発や多様な回収機会の提供を通じてボトルtoボトルリサイクルを推進すべく全清飲が連携・協力していく。
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