
アーモンドミルク研究会によると、20年販売金額は前年比19%増の100億円強、20年販売量は34%増の2万2000klを記録し、豆乳よりも早いスピードで市場拡大している。
コロナ禍での巣ごもり需要による影響に加えて、健康志向や植物性ミルクへの関心の高まりが拡大の背景。
市場は13年から毎年二ケタ成長を続けており、その中で近年の特徴的な動きとしては、大容量タイプと砂糖不使用タイプの拡大が挙げられる。これには、牛乳・豆乳代替のメニュー提案や汎用性の訴求が奏功しているとみられる。
江崎グリコの「アーモンド効果」 アーモンドミルク市場の9割強のシェアを握る江崎グリコの「アーモンド効果」は前期(12月期)、1Lの大容量タイプが40%程度伸長し、その中でも絶好調となったのがプレーンタイプの「砂糖不使用」。
取材に応じた江崎グリコの健康事業マーケティング部ブランドマネージャー田部浩利氏は「直接飲用に加えて、牛乳・豆乳の代りに使われるシーンが大きくなり、特にコーヒーの割材として飲まれるところが非常に大きな市場規模になってきている」と述べる。
このことに着眼して昨夏実施した「ブレンディ」(味の素AGF社)のコーヒーとのコラボも大成功を収めたという。
「アーモンドミルク自体の理解がなかなか広がらない中で、嗜好の幅が広く万人が飲まれているコーヒーと一緒に飲まれることで、おいしさが理解され非常に大きな効果があった。今夏も売場を拡大するなど取り組みを強化して展開していく」と意欲をのぞかせる。

「メインターゲットは、美や健康に気づかい日々忙しくされている25~50代の有職女性。その中で実は男性の購入者が約4割を占めるまで高まっている。男性のほうが1人あたりの購入金額が高くリピートしていただいている」という。
男性の購入理由としては「身体を気づかい、コーヒーの割材としてアーモンド効果を使用されている」「乳糖不耐症でもお腹がゆるくならない」等を挙げる。
二番手となるポッカサッポロフード&ビバレッジの「アーモンド・ブリーズ」も大容量とプレーンタイプが牽引役となりブランド全体の前期(12月期)売上は約60%増となった。
この中で1Lトータルは約2倍に拡大し、その好調要因についてポッカサッポロの小笠原千春レモン・プランツミルク事業本部グループリーダーは「20年春先に1Lを従来品に比べ48円値下げし希望小売価格を税抜き350円にして購買を促進したことと中味を刷新したことで、採用が大幅に増えて回転も上がっている。手に取りやすい価格によって女性層を中心とした新しいお客様の獲得につながった」と手応えを語る。

マルサンアイは、「毎日おいしいローストアーモンドミルク」とオーガニックアーモンドを使用した「タニタカフェ監修アーモンドミルク」のアーモンドミルクシリーズを展開。
アーモンドミルクシリーズの20年10月から21年3月の実績は1Lタイプが牽引して72.7%増を記録した。

その1つがオーツミルクで、マルサンアイは3月に北欧産のオーツ麦を使用した「オーツミルク」を新発売。海外のカフェチェーンでは、乳代替として豆乳、アーモンドミルクが普及し、現在はオーツミルクがメジャーになりつつあることから領域を拡大した。
コカ・コーラシステムも3月、オーツ麦ミルクを初めて製品化した「GO:GOOD おいしいオーツ麦ミルク」を関東中部エリアで新発売した。
同商品も北欧産のオーツ麦を使用し、日本人の味覚に合わせて国内製造されコレステロールゼロに仕立てられている。

オーツミルクの中でじわり存在感を高めているのは、ダノンジャパンが昨年発売し「ALPRO(アルプロ)」で牛乳・豆乳に代わる第3のミルクとして市場定着を目指している。
オーツミルク以外では、豆乳トップのキッコーマン飲料が植物性ミルク市場へ提案強化している。昨年、マカダミアナッツを使用した「マカダミアミルク」を発売し、今年3月には植物性たんぱく強化飲料「Soy Body」シリーズを立ち上げた。

