同社は地盤とする北近畿エリアでの寡占化と並行し、人口の多い大阪と京都南部への南下政策を展開している。だが、今回出店した井手町は人口7千人と、南下政策で展開する他の店に比べると人口は限られ、少子高齢化も進む。それでも佐藤総二郎社長は「われわれは人口の少ない地域で店を収益化するのは得意である」と力を込める。人口減少が課題の北近畿エリアで店舗展開してきたことが、その根底にある。
井手町は5年前に地元の店が撤退して以降、スーパーの空白地帯となっており、地元では新規出店が望まれていた。オープニングセレモニーであいさつに立った西脇隆俊京都府知事は「井手町だけでなく、山城地域全体の活性化につながる」と期待を示した。
町内唯一のスーパーとはいえ、3km商圏内には競合店が4店ある。今回はドラッグストアのキリン堂、ダイソー、郵便局などが集まる商業施設(イデフル)の核店舗としての出店。「日常的な業態を集め足下のリピーターをとらえながら、アクセスの良さを生かし、井手町の10倍以上の人口を持つ隣接の市からも集客する」(佐藤社長)考えだ。
そのための戦略の一つが地域性を意識した品揃え。カットした九条ネギや契約農家から仕入れる青果、老舗の和菓子、西脇知事も愛用するというソースなど地元商材を充実させるとともに毎日直送する鮮魚、練製品や地酒といった同社を特徴づける北近畿の商品を揃え差別化を図る。
佐藤社長は「京阪の店はスロースタートで、EDLPが浸透する2、3年目から大きく伸びることが多い」と説明する。
なお、今後の同エリアにおける出店は未定だが「近畿のより広い地域を視野に入れる」(後藤弘和専務)としている。
【フレッシュバザール井出店概要】敷地面積2万1千220㎡、売場面積1千470㎡、駐車401台、駐輪111台、営業時間9~22時