UCC、業務用市場へコーヒー豆高騰を打ち返す提案 付加価値提供とともに一杯あたりの単価をアップが軸足
UCCコーヒープロフェッショナルの橋本樹一郎社長
 UCCグループで業務用サービス事業を展開しているUCCコーヒープロフェッショナルは、業務用市場に向けてコーヒー豆の高騰を打ち返すべく多彩な提案を行っている。

 今年1月1日から現職の橋本樹一郎社長は3月25日、業務用展示商談会「UCC Smile Festa2025」の東京会場で記者発表会に臨み「世界のマーケット動向を真摯に説明して、消費者にもご納得いただけるような形で、お店でのご提供を共に創り上げていく」と述べ、コーヒー相場に触れる。


 円換算したコーヒー生豆価格は25年期初、24年期初に比べてアラビカ種・ロブスタ種ともに約2倍。UCCは、25年について相場と為替の影響により過去最高の輸入価格になると予想する。

 アラビカ種については、雨期入りの遅れと高温乾燥により25/26年度(25年10月~)産の減産を懸念。
加えて、ブラジル生産者が更なる価格高騰を期待し売り控えする恐れや、ブラジルの船積み遅れによる消費国在庫の積み上げが遅れる恐れも指摘する。

 ロブスタ種は、ベトナムで干ばつとその後の過剰な降雨で24/25年度(24年10月~)の生産量が減少した。

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UCCコーヒープロフェッショナルの橋本樹一郎社長 これらの状況を踏まえ「コーヒー屋としては非常に原料・原価のコントロールが難しい状況。お客様への付加価値提供とともに、お店でもカップ単価を上げていくことを(得意先に)お話させていただいている」という。

 1杯あたりの単価アップ提案の説得材料としては、外部データを引き、外食のコーヒー・ラテの1人あたりの客単価が、19年から24年にかけて外食・中食、ファーストフード、喫茶・カフェ、ファミリーレストラン、コンビニカウンターコーヒーの各業態で上昇傾向にあることを挙げる。

 23年10月から24年9月の1年間で1人あたりの客単価が著しく上昇したのはファミリーレストラン。これについては「ドリンクバーのコストが上昇したため単価を上げざるを得ない」との見方を示す。

 付加価値提案ではホテル業態に深耕余地を見込む。
 「宿泊費が高騰している中、宿泊客へのサービス強化という文脈で、客室に置かれるコーヒーがアップグレードされる確率が高まっている」とみている。


 業務用展示商談会では、with foodやアレンジレシピ、水淹れコーヒー、水素焙煎コーヒーなどを多彩に提案。

 中核となるレギュラーコーヒーでは、コーヒーの知識を楽しみながら習得できる「COFFEE ACADEMY」ブースや50種類以上のレギュラーコーヒーを比較試飲できる「COFFEE LINEUP」ブースを設け、来場者が基礎となる品質へのこだわりをつかみとれるようにした。

 UCC調べによると2023年国内コーヒー飲用杯数は1.7%減の582億杯。内訳は、家庭外108.1億杯(前年比2.2%増)、家庭内282.1億杯(同1.8%減)、RTD飲料191.9億杯(同3.4%減)。

 24年の家庭外コーヒー市場については「飲用杯数では厳しい状況にあるが、価格転嫁できているところもあり、金額ベースで捉えると100%を超えている、あるいは成長していると言えるのかもしれない」と説明する。
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