炭酸水を含む炭酸飲料の無糖と有糖の間にある“少し甘い”領域の開拓へ、炭酸水ブランドの「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)と天然水ブランドの「サントリー天然水」(サントリー食品インターナショナル)がともに新商品を投入して挑んでいる。

 「ウィルキンソン」からは、炭酸水を飲み続けることに“しんどさ”のようなものを感じる健康疲れに着目して、大人向けの有糖炭酸飲料「WILKINSON GO テイスティグレフル」を4月16日に新発売した。
中味は、同社の有糖炭酸の定番商品「三ツ矢サイダー」の約半分の甘さに抑え、ピンクグレープフルーツのフレーバーをベースに隠し味としてトニックフレーバーを合わせている。

 実際、「ウィルキンソン」ユーザーから「仕事に疲れた午後には少し甘いのが飲みたいというお声をちょうだいしている」と語るのは、香山宏マーケティング本部マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループグループリーダー。

 「ウィルキンソン」ノンユーザー(非飲用者)獲得に向け、健康志向の高まりにより有糖から無糖へとシフトする際の橋渡し役を想定。「いきなり有糖炭酸から無糖炭酸にシフトするという動きよりも、その間のステップとしての機能も考えられる」と述べる。

 アサヒ飲料は過去、炭酸飲料の少し甘い領域へ「三ツ矢」ブランドでもアプローチ。

 今回、「ウィルキンソン」の無糖炭酸水をベースにしたプラスアルファの価値として甘さを提案することで、炭酸飲料から糖分を抑えた微糖のネガティブなイメージを払拭する。


 サントリー食品インターナショナルも以前、微糖の炭酸飲料を開発していたが、その結果は芳しくなかったという。

 平岡雅文ブランド開発事業部課長は「“有糖炭酸から無糖炭酸への懸け橋になるような商品を作る”のが元々の考えだが、結果をみると、お客様は“どちらも飲む中で無糖を飲むことが増えた”実態が浮き彫りになり、微糖のニーズがあまりみられなかった」と振り返る。

 懸け橋ではなく引き算に見えてしまったのも問題だったという。

 「微糖の炭酸飲料は、理屈では懸け橋になるが、満足度がついてこないことで有糖からの引き算に見えてしまった。例えばコーヒーの微糖は甘さが控えめな分、コーヒーの満足感が上がるが、炭酸飲料では甘さを引いただけになってしまった」と振り返る。

 一方で、昨年は同ブランドと果実を組み合わせた「きりっと果実」と「サントリー天然水 特製レモンスカッシュ」の有糖飲料がヒット。
今年、この組み合わせを無糖の炭酸飲料へと広げた。

 3月26日、無糖炭酸飲料に挑む新商品として「サントリー天然水 FRUIT―SPARK グレフル&レモン」を新発売した。

 同商品は、グレープフルーツとレモンの果汁が入った無糖の炭酸飲料。皮ごと絞った混濁の果汁により、複雑で厚みのある味わいでありながら、天然水を使用した無糖炭酸ですっきりとした後口が特長となっている。