投手のポーカーフェイスについて語った山本キャスター
沖縄尚学の優勝で幕を下ろした夏の甲子園。球児のみなさま、学校・大会関係者のみなさま、そして球児を支えたご家族も心からお疲れ様でした。
沖縄尚学のエース・末吉良丞くんは、2年生とは思えない投球が話題になりました。変化球で三振の山を築いた投球は圧巻でしたから、1年後のドラフトでヤクルトに来てくれないかしら、と今から夢は膨らむばかりです。
末吉くんは、ピンチでも物怖じしない肝の太さが話題になりました。どんなピンチの場面でも、表情をほとんど変えることなく淡々と投じる様子には風格さえ感じました。というより、とても2年生には、いや高校生には見えませんでした。近年は試合中のスマイルも当たり前になった高校野球にあって、かなり目立っていたと思います。
どんな場面でも顔色を変えない様子を「ポーカーフェイス」と呼びますね。心の内を悟らせない無表情は、心理戦がものをいうポーカー(トランプゲーム)で自分の手を相手に悟られないために必要なものでした。転じて、ポーカーフェイスは勝負強い人の代名詞となりました。
古今東西、明るくて華のある選手は人気ですよね。大谷翔平選手はまさにその代表格ですが、一方でシチュエーションに関係なく淡々と投げるダルビッシュ有投手は、ポーカーフェイスの代表格と言っていいかもしれません。どちらも魅力的ですが、私は淡々と投げ続ける後者のようなタイプにとても惹かれます。
ヤクルトだと、ルーキーの荘司宏太投手がそのタイプかもしれません。先日の阪神戦でピンチを迎えた際も表情を変えることなく、結果的に見事に切り抜けたのですが、この日は珍しく相手打者を討ち取った際に自分の胸を3度叩いて、静かに喜びを表現していたのが印象的でした。

8月ももうすぐ終わり。今年の夏も野球三昧でした。
でも、荘司投手にインタビューした時にお聞きしたのですが、実は「とても緊張しい」なんだとか。マウンドではポーカーフェイスでも、もしかするといろんな感情を隠しているのかもしれません。つまり、ポーカーフェイスは決して無表情なのではなく、"戦っている顔"なのだと気づかされました。いい登板のあとは、帰ってから小躍りしているのかも。
感情を表に出して自分やチームの熱を上げていくタイプの投手もいますが、いい時も悪い時も決して動揺せずに自分のペースで淡々と投げるポーカーフェイスも、プロ野球に適正がある選手の特徴のひとつなのかもしれません。
ちなみに、「球界のポーカーフェイス」で検索すると、中日の涌井秀章投手と、元阪神の能見篤史さんが出てきます。投手ばかりが検索にヒットするのは、ピンチになった際の表情がテレビで映されることが多い、投手という仕事の特別性からでしょう。
MLBに挑戦したのち、今年7月にヤクルト入りした青柳晃洋投手は、能見さんに弟子入りしてポーカーフェイスの極意を学んだとか。
となると、やはり沖縄尚学の末吉くんはとてもプロ向きということでしょう。決勝の日大三高戦で9回裏にマウンドに上がり、得点を許さず優勝を決めた時にマウンド上で見せた笑顔はとても素敵でした。あれは応援したくなりますよね。ということで、ぜひヤクルトへ(笑)。
来年の甲子園も、ポーカーフェイスの投手が増えるかもしれません。しっかりチェックしようと思う山本なのでした。
それでは、また来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作