ここ数年でフードデリバリーをやめた店とその理由を考察します
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第150回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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2020年の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに認知度が一気に高まったフードデリバリー。多くの方に知れ渡ることにより、ウーバーイーツ利用者や配達員が爆発的に増えました。
例えば、店で食べるとひとり当たり数万円するような、ビルの高層階にある高級レストラン。コロナ前までは店のスタッフが出前を行なっていたと思われる町中華。下町の商店街にある団子屋。いろんな店がウーバーによるデリバリーサービスを始めたので、当初は「このあたりにウーバーをやっている店なんてなかったよな」なんて思いながら商品を受け取りに行ったものです。
新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが5類に移行されてから、この連休明けで3年。飲食店のテーブルにあったアクリル板を見る機会はほぼなくなり、マスクを着用する人の姿も少なくなりました。そして、ウーバーイーツの配達現場では「最近、商品を受け取りに行く機会が減ったな」と思っていたら、ウーバーによるフードデリバリーをやめていた店が増えました。
そこで今回は、コロナ後にフードデリバリーをやめた店とその理由を考察します。あくまで考察なので「確かにそうかも」程度に読み流していただけたらと思います。
一番行かなくなったと感じるのは、超高級レストラン。私がよく配達するエリアは中央区の日本橋や銀座ということもあり、コロナ禍はビルの高層階にある高級中華店をはじめ、有名なホテルの中のステーキ店、路地裏にあるおしゃれな雰囲気の隠れ家的レストラン、銀座にあるカウンターがでっかい一枚板で作られているすし店など、私の収入では店に入ることを躊躇する店からの配達依頼がけっこう入っていました。
先日、そんな超高級店のひとつだった路地裏のレストランの前を通りかかると、入口の扉にかつて貼ってあった「Uber Eats取扱店」のステッカーがなく、それらしきものが剥がされた跡が残っていました。
他の高級店がどうなったのか気になったので、別の日にかつて配達で行った店も見てみましたが、その多くから「Uber Eats取扱店」のステッカーが消えていました。
料理を注文後、配達員に「この配達をしませんか」と募集をかけ、決定して初めて配達員が店へ商品を受け取りに行く。といった流れでデリバリーを行なうウーバーイーツのシステムは、注文から手元に届くまでの時間がどうしてもかかってしまうもの。そして、超高級店で料理を味わう人は「おいしいものを食べるなら一番おいしい状態で食べたい。店の雰囲気も楽しみたい」と考える方が多いのでしょう。店内での飲食ルールの規制が緩和された今、デリバリーで注文するより店に行った方が味覚的にも視覚的にも楽しめることから、超高級店はウーバーによるデリバリーをやめるところが増えていると思われます。
個人店では、具沢山のスープ、もつ煮込みといった汁物が自慢の店や、麺類を扱う店が減りました。
こちらは容器の問題が大きかったと思います。フードデリバリーの普及でテイクアウト用の使い捨て容器が劇的に進化。きっちりとフタが閉じられていれば横に倒れても汁が一切こぼれないものや、麺とスープが完全にセパレートされ(もちろん横に倒しても汁漏れはしない)さらに具材もセパレートされたものなど、すごい容器が続々登場。
かつては店の前に「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」など多数のフードデリバリー業者のステッカーを貼っていた店が、気がついたら「Uber Eats」だけになっていた。かつてのデリバリー業者はすべてやめて「ロケットナウ」だけにした。といったケースもよく見かけます。
以前、4社のフードデリバリーから注文を受けて、店の壁に各社の注文を受け付けるタブレットを取り付けていた店の人に話を聞くと「お昼の時間帯の注文依頼が半端ない。すべての注文を受けると店に来た人の料理を作る余裕がなくなる。だから一番注文のあるウーバーだけにした」とのことでした。
といった感じでウーバーをはじめ、フードデリバリーのサービスから撤退する飲食店が増えています。ですが、ウーバーイーツの場合、スーパーマーケットでの買い物代行、処方箋の必要な医薬品の配達、店ではなく個人の荷物を運ぶバイク便のようなサービスなど、フード以外のさまざまなデリバリーサービスに取り組んでいるので「数年後に配達員の仕事がなくなる」といった状況にはならないでしょう。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
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