その経歴もさまざまですが、今回インタビューした北村海智(きたむら みち)さん(34)ほど、個性豊かな経歴を持っている女性も珍しいです。
「ドイツで靴職人」「WEBディレクター」「婚活番組出演」……と、どこから突っ込めばいいのか、興味を惹かれるワードばかり。
そんな北村さんの波乱万丈な人生を、じっくり語ってもらいました。
Webディレクターからチャットレディに
――北村さんがこの業界に入った理由を教えてください。北村海智(以下、北村):以前、情報配信サービスの会社で、Webディレクターをしていたんです。そこで、私が動画サイトで顔出しして出演する、という話になったんですね。
顔出しってリスクがあるじゃないですか。それだったら、もっと自分がやりたいことでやっていきたいと思って。考えた結果が、昔から興味があったこちらの方面だったんです。
――なかなかぶっ飛んでいますね(笑)。
北村:人生1度だけですから。ちょうどその頃、オトナのチャットレディで月に250万円稼ぐ女性の話をネット番組で見て、面白そうだったのですぐに体験入店して。
それがすごく楽しかったんですよ。で、しばらくは会社員と兼業したんですが、そのうちチャットレディ専業になりました。
――どのくらい稼げました?
北村:多いときは、2週間で100万円とか。でも、プラットフォームや事務所に手数料を払ったら、30万円くらいしか手元には残らないんですけど(笑)。
――なかなか世知辛い話です。
北村:チャットレディを続けているうちに、セクシー女優の世界にも興味が出てきて。
それでまずメーカーに転職して、出演。そこから専業女優になりました。
23歳からの2年はドイツで靴職人見習い
北村:あ、靴職人見習いをやっていましたよ。23歳くらいから、2年間ほど。
――本当なんですか!
北村:ええ、ドイツで医療用の靴というか、足を病気やケガで欠損した方のためのオーダーメイドシューズとか、偏平足の方用のインソールとかを作っていました。
――そんな仕事もあるんですね。靴職人見習いはなぜ辞めてしまったんです?
北村:2年目の時点で、インソールを作る仕事が3Dプリンタに奪われてしまって(笑)。
オーダーメイドシューズの注文も多いわけじゃないので「もうこの仕事に未来はないかな」と。いい経験にはなりましたけどね。
デビューを聞いた家族の反応は
北村:めちゃくちゃ不安でしたよ。容姿もそうですし、私、自分がだいぶぽっちゃりしていると思っているので、そんな人間がセクシー女優として受け入れてもらえるのかって。
でもこの1年で、人間の好みはさまざまで、私でも興奮してくれる方が多いと知って安心しました(笑)。
――ご両親やお友達にバレるかも、という不安は?
北村:私は出演が決まった時点で、両親と親しい友人には話したんですよ。だからそこも、不安はなかったですね。
――話したんですか、珍しいタイプですね。反応はどうでした?
北村:友人たちは「いつかそういうこと、するんじゃないかって思ってた」って(笑)。あっさり受け入れてくれましたね。「応援するよ」とも。
両親も最初は「応援する、どうせあなたは止めても止まらないから」って。
「親子の縁を切るしか」父親からの言葉
北村:はい、安心して3時間くらい、買い物に出かけたんですよ。
「どうしてもやりたいのか。それだったら、もう縁を切るしかないのかな……」と言い出して。
――めちゃくちゃ深刻な話に。
北村:私、そこで「でも、親子の縁ってどうやって切るの?」なんて言っちゃって。そういう話じゃないだろって今は思うんですけど。
でも、そうしたら父親も母親も「たしかになぁ」「そうね、どうすればいいのかしら」とか言い出して(笑)。
結局「親としてはいいよ、とは言えないけど、あなたの人生だからね」と。
それ以来その話はしていないけれど、定期的に実家に帰っていて「元気ならいいよ」とは言われるので。
――いいとは言えないけれど、静かに受け入れている感じですかね。
北村:干渉しないで見守ってくれていますね。ありがたいことです。
結婚前の同棲時から4年間のレス
北村:結婚自体は3年半くらいですが、同棲期間も含めれば8年くらい一緒にいました。
――そこそこ長いですね。離婚の原因は?
北村:根本的に性格が違うので、そこで些細なコミュニケーションエラーが積み重なってしまったのと……あと、これが直接の理由とは言えないんですが、4年ほどレスで。
――ということは、同棲時にはもう。
北村:はい。だからプロポーズされたときは「大丈夫かな」って心配でした。
でも私、楽観的な部分があるので「いつか解消する」って信じていたんです。と言うか、そうやって問題を過小評価することで、自分を騙しながら結婚生活を続けていたのかも。
――なかなか、難しい問題ですね。
北村:私は彼が相談してくれたら、一緒に解消したいと待っていたんですけれども、その間も私の人生はどんどん進んでいくんですよね。
やっと腹を割って話したとき、彼が「子どもは欲しくない」と言い出して。私たち、子どもがほしい前提で結婚したので。
――ああ、それはもうどうしようもない。
北村:それなら、もう一緒にいる意味がないし、私も新しい人生を始めたいし。というわけで、円満離婚でした。
――じゃあレスの状態からの、セクシー方向へ。
北村:そういう意味では、セクシー女優になるのは不安だけど、ワクワクもあった、という感じでしたね。
婚活番組でドン引きされて大失敗
北村:あれは本当に大変でした(笑)。お見合いしても、周囲に撮影クルーがいるし、私の職業のこともあって、お相手が緊張しちゃって。
それをほぐそうと思って、なんでもざっくばらんに話そう……と考えたんですけど、そうしたら下ネタ全開になっちゃって、ドン引きされました(笑)。
――それは良くない、業界の悪いところが出ちゃった(笑)。
北村:それでも最後に、いい感じになれた方もいたんです。でもすごく真面目な方で、私のほうで「本当に私の職業を理解してくれたのかな」って部分が心配になってしまって。しっかり話し合ってみたら「やっぱり自信がない」ってことで、残念ながら。
――番組ではうまくいかなかったですが、その後、婚活は続けてます?
北村:はい、婚活パーティーやマッチングアプリにチャレンジしたんですが、なかなかうまくいかなくて。もうファンの方から応募しちゃおうかな、と(笑)。
セクシー女優の婚活に対する世間の反応
北村:私には直接来なかったんですけど、やっぱりありましたね。
「ヤバい女なんじゃないか」とか「セクシー女優が子どもをほしがるのはどうなの?」とか。
でも業界ではご結婚なさって、お子さんもしっかり育てている女優さんも多いですし。そういう方にお話を聞いていて、やっぱり職業に関わらず、子どもに最大限の愛情を与えることが大事だなって確信しました。
だから私も、私が両親にしてもらったように、自分も子どもに対して愛情を注ぐだけだなって考えています。
――とすると、あとはお相手を見つけるだけですが……もし再婚しても、セクシー女優は辞めないですか?
北村:できれば、一生続けたい仕事だと思っています。楽しいですし、やりがいもすごくありますし。
それに、私が楽しそうに生きているのを見て「元気をもらった」ってファンの方も多いんです。
そうやって、私の人柄を見てくれるファンの方とのやり取りも私の生きがいのひとつなので、それを捨ててまで辞める選択肢は、今の私にはないですね。
……でも、仕事を許してくれて、子どももOKで、私の性欲も受け止めてくれる人となると、なかなか再婚のハードルは高いな、というのが今の悩みです(笑)。
<取材・文/蒼樹リュウスケ、写真/杉原洋平>
【蒼樹リュウスケ】
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター
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