“隣人ガチャ”という言葉があるように、あこがれの夢のマイホームを手にいれても、時には思いがけないトラブルに巻き込まれることがあります。今回取材に応じてくれた木村さん(仮名・34歳)もその一人。
最初は愛想のよかった隣の老夫婦が、日を追うごとにクレームを連発してくるようになりました。
 せっかくの新居生活も真逆な状況に頭を抱えていたそうですが、ある日とんでもない事実を発見し、事態は思わぬ方向へ進んだそうです。一体何があったのでしょうかーー。

「木の枝が敷地に入ってるぞ!」隣に住むクレーマー老人が隠して...の画像はこちら >>

念願のマイホームで起きた隣人からのクレーム

 都内のマンションで暮らしていた木村さん一家が戸建てに引っ越してきたのは、長男が小学校に入学するタイミングでした。

「子どもが大きくなってきて、都内のマンションでは手狭になってきたんです。それに庭のある家で育てたかったというのもあって」と木村さん。

 転居当日、ご近所への挨拶回りを済ませ新居での生活をスタートさせた木村さん。ところがその数日後、隣の老人が思いがけない言葉をかけてきたそうです。

「木の枝が敷地に入ってるぞ!」

 老人の手には、境界フェンスからわずかにはみ出た庭木の枝が握られていたそうです。

「妻からその話を聞いて、最初は耳を疑いました。実際に現場を確認したのですが、はみ出ているとはいっても、ほんの数センチだったのです」

 と木村さんは苦笑交じりに振り返りました。

尋常じゃない細かすぎる注文に苦慮

 ところが、それ以降も事態は収まるどころか、むしろエスカレートしていったようです。庭で顔を合わせるたびに老人が何かしら細かいことを指摘してくるようになり、木村さん夫婦はそのたびに対応に追われることになりました。

「木の枝が敷地に入ってるぞ!」隣に住むクレーマー老人が隠していた“セコイ事実”。「枝なんかよりよっぽど問題」
老人
 隣へはみ出した木々の枝は、当初自分たちでこまめに剪定していました。
しかし前の住人が手入れをしていなかったのか、庭に植えられた複数の樹木の枝はあちこちに広がっており、自分たちの手に負える量ではなかったとのことです。

「これはもう庭師に頼むしかないなと思いました。でも、引っ越し直後でお金もギリギリの状態で……」と木村さんは当時の苦慮した当時を振り返りました。

 その後、頭を抱える日々が続くなか、隣からのクレームだけは着実にその頻度を増していったとのことです。

「枝の件だけならまだしも、そのうち『換気扇の風が私の敷地に入ってきて不快だ』なんてことまで言い出して尋常ではない状況でした」と木村さんは困惑した様子で話してくれました。

ある日発覚した”とんでもない事実”

 クレームが続くある日の早朝、木村さんはふと隣家との境界付近に目をやり、違和感を覚えたといいます。本来であれば直線で続いているはずのブロック塀の土台が、ある地点からわずかに右へと湾曲しているように見えたのです。

「最初は見間違いかなと思ったんですが、よく見ると明らかに違和感がありました。それで境界線を示す杭のところと見比べてみたら、なんと隣家のブロック塀が境界線を越え自分の敷地内へ入り込んでいたんですよ」

 枝が数センチ越境しているどころの騒ぎではありません。塀そのものが境界線をまたいでいるとなれば、法的に見ても立派な越境問題です。木村さんは冷静に対応策を考えたようです。

「まあ先は長いので、今度隣が何か文句を言ってきたタイミングに言ってやろうと思いました」

 この事実が引き金となり、隣人との関係が大きく変化する兆しとなりました。

事実を目の当たりにし静寂が戻った

 案の定、隣の老人はいつものように小言を言ってきたので、木村さんは意を決して隣の重大な建築違反について伝えたといいます。


「これ見てください。おたくのブロック塀が私の家の中に入り込んでいますよ。境界線はここですから」

 余計な感情を交えず、ただ事実だけを淡々と伝えたといいます。

 老人はしばらく黙って考え込んだあと、指摘された箇所へゆっくりと歩いて向かい、自分の目でその状況を確認すると、無言で自宅に戻ったそうです。

 それ以降、老人から何かを言われることはなくなり、ようやく静寂が訪れたといいます。木村さんもあえてブロック塀の問題を大ごとにするつもりはなく、黙認することにしたといいます。

「たぶん、もう何も言ってこないと思います。だって、ウチの枝が越境するようなことなんか比べ物にならないくらい重大な問題ですからね」
 
<TEXT/八木正規>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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