労働環境が良くなり初任給もアップ
金丸氏は「バブル崩壊前の1989年頃のピーク時と比べて、日本の製造業の工場数と労働者数は約半分に減少した」と回顧し、次のように続けた。「ですが、製造業の出荷額は当時と変わっていません。工場数と労働者数が約半分になったにもかかわらず、出荷額が当時と同じままということは、30年以上の間にダメな会社だけ淘汰されたというわけです」
下請法によって委託事業者の減額や返品、支払遅延といった不当な要求から、中小受託事業者が保護されるようになったのも追い風となった。
「いわゆる下請けいじめが減り、小さい会社でも割に合わない仕事は『できません』とキッパリ断れるようになった。製造業の労働環境は格段によくなっていて、給料にも反映されています。大卒新入社員の初任給は、昔から約20万円でほとんど変わっていませんでしたが、ここ最近急激に上がっていて、弊社ではこの3年で大卒新入社員の初任給は3万円アップさせました」
さらに労働基準法の改正により、製造業の社員も働きやすくなっているとも。
「残業代が1分単位で計算されるようになり、着替え時間なども就業時間に含まれるようになりました。弊社ではサービス残業をさせない取り組みを浸透させています。また、有給休暇は年5日以上の取得が義務化されており、会社に拒否権はあるものの、弊社ではこの10年、申請を拒否したことは一度もありません」
普通の町工場が設計やソフトウェア開発にチャレンジ
バブルが弾けて多くの会社が淘汰される中で、リングアンドリンクはどのように生き残ってきたのだろうか。「バブルが崩壊した当時、弊社は新工場を建設したばかりで借金の返済に追われていました。倒産の危機に直面しましたが、『どうせ倒産するなら挑戦しよう』と社員と話し合い、流通し始めたパソコンを導入して町工場から、設計やソフトウェア開発を行う会社へと転身しました。
町工場で加工をメインに行っていたときは、機械購入費や材料費、人件費などの先行投資が多く、仕事がないときには固定費が重荷になっていた。ですが、設計やソフトウェア開発は先行投資が少ないので、とても『おいしい事業』だなと思いましたね。もちろんパソコンの知識や経験はありませんでしたが、若いからやれると自信がありました」
金丸氏たちはその後も研究開発に挑むも、今度はITバブルが崩壊。
「私のアイデアをもとに、町工場のときに機械制御をしていた社員が開発した不動産業界向けのソフトウェアが大ヒット。1本200万円と高額にもかかわらず、全国で3400本のセールスを記録しました。この成功のおかげで借金も完済することができましたね」
成功の秘訣は他社がやっていないことに挑戦する
「反対されなかったのは、このままだと倒産していましたし、設計やソフトウェア開発は先行投資が少ないので、失敗しても大きな損失にはならないことが分かっていたから。チャレンジするとなるとみんな協力してくれましたが、私は絶対に成功すると確信していました。
当時、私は大手メーカーの社員も参加するようなセミナーにいろいろ参加していて、ソフトウェアがくると思っていたんですね。成功するためにはレッドオーシャンではなく、誰もやっていないブルーオーシャンに挑むことが大切です」
ブルーオーシャンに挑むのはさまざまなメリットもあるという。
「誰もやっていないことなら、例え失敗しても許してもらえやすいですし、失敗を糧にちゃんとブラッシュアップできれば、ちゃんとした製品になる。成功すれば社員も説得しやすくなりますが、実は新しいことに挑戦して3連敗中でして……。いずれも先行投資が少なかったので、会社に大きな損失は出していないものの、次に失敗したときは責任を取らなければいけないと感じています」
製造業のイメージを変えるために
「今後チャレンジしたいことがある」と意欲を燃やす金丸氏だが、業界の人手不足に頭を悩ませている。「製造業の現場でも人手不足は起きていて、エンジニアを育てるのに時間がかかるため、弊社でも常時募集していますが、採用は難しい状況が続いています。製造業の分野にもAIが進出していて、機械のプログラムや設計にも影響を与えると見ているので、徐々に解消されるとは思いますが、製造業に興味を持つ若者が増えてくれるとうれしいですね」
そのためには、製造業のイメージを変えて、何をやっている会社なのかをもっとアピールする必要があるという。
「先ほどお話した通り、製造業は昔と比べてかなりホワイトになりましたが、きつい、地味といったイメージを持っている若者は多いと思います。それに加えて、何をやっている会社なのか分かりにくいという問題がある。弊社の社員も、子供に仕事内容を説明しても『わからない』と言われたと嘆いていました。
製造業はSNSなどを活用した情報発信は苦手な会社が多いと思いますが、業界や会社の認知向上につなげて新たな人材を確保するためにも、積極的にアピールしていく必要があると考えています。弊社としても社員が胸を張って自慢できるように、会社自体のブランドをさらに確立し、社会的に評価される会社に成長していきたいですね」
【黒田知道】
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年10月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/61-wQA+eveL._SL500_.jpg)
![Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2024年 10月号[日本のBESTデザインホテル100]](https://m.media-amazon.com/images/I/31FtYkIUPEL._SL500_.jpg)
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年9月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51W6QgeZ2hL._SL500_.jpg)




![シービージャパン(CB JAPAN) ステンレスマグ [真空断熱 2層構造 460ml] + インナーカップ [食洗機対応 380ml] セット モカ ゴーマグカップセットM コンビニ コーヒーカップ CAFE GOMUG](https://m.media-amazon.com/images/I/31sVcj+-HCL._SL500_.jpg)



