大谷翔平は1番投手兼指名打者で出場。投げては、2回にリズムを崩し3点を許したが、その後は我慢の投球で6回を投げ切り、今季8勝目を飾った。打っては、5打数2安打1打点の活躍で、チームの勝利に貢献した。
普段からマウンドでは気迫のこもった投球で、喜怒哀楽を表に出すことも珍しくない大谷だが、この日の試合では、序盤から険しい表情を見せる場面が目立った。
背景には、若き捕手ダルトン・ラッシングとのコンビネーションがかみ合っていなかったこともあっただろう。
大谷が鬼の形相…ラッシングとの連係ミスで試合が暗転
ドジャースの1点リードで迎えた2回裏、3本の単打で1死満塁のピンチを招いた大谷は、初球にこの日最速となる101.7マイル(約163.6キロ)のフォーシームを投げ込んだ。ところが、サインの行き違いがあったとみられ、ラッシングがこれを捕球できず。あっさり同点に追いつかれた。その直後にバッテリーはマウンドに集まり、数十秒間の会話を交わしたが、大谷の表情はいつになく険しく、鬼の形相でラッシングを諭しているようにも見えた。
大谷の表情をさらに曇らせたのが、その直後。低めに鋭く曲がったスイーパーに対して主審はボールをコールしたが、大谷は即座に帽子を3~4度触り、ABSチャレンジを要求した。
これに対して、ラッシングは「低めに外れていた」と言わんばかりのジェスチャーで反応。大谷も怪訝な表情を浮かべるしかなかった。
大谷の思惑通り判定が変わり、持ち直すかと思われたが、続く5球目をセンター前へ運ばれさらに2失点。その後は相手の走塁ミスがあって、さらなるダメージは回避したが、大谷の険しい表情が崩れることはなかった。
もっとも、大谷本人がラッシングへの不満を口にしたわけではなく、2回の表情もさまざまな要因が考えられる。それでもファンの間ではラッシングのプレーと結び付けて受け止められたことが、議論拡大の一因となったようだ。
大谷とのコンビはスミスとラッシングで対照的な数字に
ドジャースは正捕手ウィル・スミスが首痛で離脱中。ラッシングが代役を担っているが、大谷とのコンビでは、3試合で自責点9と結果が伴っていない。10試合で自責点5のスミスとは対照的な数字となっている。もちろん失点のすべてを捕手だけの責任にすることはできないが、投手との意思疎通や試合運びには少なからず差が表れているようにも映る。それでも大谷は3回以降、自ら球種のサインを出す形に切り替えて立て直しに成功。状況に応じて修正できたことは、今後に向けて一つの収穫といえそうだ。
ラッシングの未熟さを監督も指摘
振り返れば、これまでもラッシングは感情を表に出す場面が多く、今季序盤には相手選手との接触後の言動が物議を醸したこともあった。気性の激しさは以前から指摘されており、課題の一つとなっている。ツインズ戦後には、デーブ・ロバーツ監督も「まだ成長の途中」「自分が思うような結果を出せないとイライラしてしまう」と、ラッシングの未熟さにも言及。3点を失った直後の攻撃中には監督自らラッシングのもとへ駆け寄り、「感情に振り回されないように」と助言したという。首脳陣も技術面以上にメンタル面の成長を重要視していることがうかがえる場面だった。
「ボディランゲージが最悪」日米ファンから厳しい声
そんなラッシングに対しては、日米のファンから厳しい意見が出ている。「ラッシングはボディランゲージが最悪だ。チームメートに対しても不満が表に出てしまう」
「素行も相まってちょっとドジャースの正捕手としては荷が重いね」
「投手に気持ちよく投げさせるのが捕手の仕事なのに、ラッシングは我が強すぎるんだよ」
その一方で、ラッシングは試合後に「とにかく今日は僕がダメダメだった。本当に恥ずかしい」「今日は本当に個人的には受け入れがたい」と、自身の振る舞いについて反省の言葉を並べており、今後立ち直るきっかけになる可能性もある。
そんなラッシングの反省の弁に対して、好意的に受け止めたファンもいて、「ちゃんと反省しているのはいいことだ」「彼は自分に高い基準を課しているからこそ熱くなるんだろう」と擁護する声も少なくない。
捕手として真価が問われる今後の成長
ラッシングにとって問われているのは、配球やキャッチングだけではない。投手の信頼を勝ち取り、感情をコントロールしながらチームをまとめる——。その“捕手としての条件”を満たせるかどうかが、今後の成長を左右しそうだ。今回の一件は、その難しさと責任の重さを改めて浮き彫りにした出来事だったといえるだろう。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。
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