厚生労働省の人口動態統計によると、2025年に生まれた赤ちゃんは67万1270人。前年より1万4903人少なく、これまでで最も少ない数でした。いちばん多かった1949年の269万6638人とくらべると、約4分の1です。子どもが少なくなった今、お店で子ども連れと居合わせたときにどう過ごせばいいのか、迷う場面もありそうです。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気記事から、行きつけの居酒屋で、騒ぐ子どもを放ったまま飲み続ける夫婦に出くわした男性の話。
記事の後半では、子どもと一緒に外食する親たちが、お店でどんなことに困っているのかを調べてみました。
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行きつけの居酒屋に見慣れない客の姿が
都内のIT企業に勤める神奈川県在住の高島壮介さん(仮名・30代)が最近出くわしてしまったのも、居酒屋でのこうした迷惑客だったそうだ。
「妻と毎週末のように通っている、近所の行きつけの店での出来事だったので、衝撃的でしたね。
こんな良店には高島さんのような常連客はもちろん、一見客も多く訪れる。
「なのでいつも『来週もこの時間にお願いします』と予約をとっているんです。この日も自分たち以外の席はすっかり埋まっていて、さすが賑わっているなあと思っていると、2人の子を連れた若い夫妻が目に留まりました」
さわぐ子供を放置して飲み続けていた
「ヤンキー感があったのでなおさらではありましたが、早めの時間だったこともあって、『息抜きも大事だもんなあ』くらいにしか思っていませんでした。ですが、小一時間ほど経ってからのことでしょうか。ほろ酔い気分も出てきたあたりから、子供たちが駄々をこねているような声が聞こえてきたんです。夫婦は慣れた様子でスマホから動画を流し、子供に手渡すと、我関せずと晩酌を継続していました。スピーカーで音を垂れ流していたのが引っかかりましたが、収拾がつかなくなるよりはいいかと、スルーしました」
「2人とも小学校低学年ほどのようでしたから、まだまだ落ち着きがない年頃ですよね。
見かねた常連が注意するも、火に油を注いでしまう
「クーラーの風が逃げてしまい、店内はムワっと気持ちの悪い温度にもなって……。この期に及んでもなお、ヤンキー夫婦はどこ吹く風。自分たちはお酒を飲んでは大声で盛り上がっていました。注意しろよと思いつつも、酔っ払いのヤンキーを相手にするのは面倒が勝ちますよね。われわれも含め、みんな見て見ぬ振りをしていました。チラチラと『帰れ』の念を込めた視線を浴びせながらも」
図に乗ったか、さらに酔いが回ったか。夫がなにやらスマホを取り出すと、机の上に置いた。スピーカーホンでの通話を夫婦ではじめたのだ。
「大声で話していたので内容は筒抜け。どうも“ツレ”を呼び出すための電話だったようですが……」
「40代くらいの常連さんが『いい加減にしろ!』と、果敢にもそのヤンキー夫婦の席に行って注意したんです。ほかの客同士はというと、応援の連帯感がにわかに生まれさえしていました。けれど、ある意味さすがはヤンキーです。そんな空気はものともせず、夫のほうが『金を払ってんだから、テメエに言われる筋合いはねえだろ!』と、今にも手が出そうな勢いで怒鳴り返しました。慌てて女将さんとバイトが止めに入りましたが、むしろ怒りをヒートアップさせてしまったんです」
その場を収めた常連男性の意外な正体
「日頃は職人肌かつ穏やかな、物静かな方なんです。そんな店主が、『食事代はいらないので、出て行ってください。金輪際、出禁です』と、一喝。荒らげた声を聞いたのは5年以上通ってこの日が最初で最後ですが、かなり迫力があって、外野の私のほうが縮こまるほどでした。
なのに……“伊達じゃない”ヤンキー夫妻は、『今からツレも来んだからな! “お客様”に向かって舐めた口きいたことを後悔させてやるよ』と、さらに激昂。子供たちは泣き出すしで、もう通報するしかないかなとまで考えはじめていました」
「カウンターでいつもしっぽり嗜まれている、素敵な70代後半くらいの常連さんがいるのですが、その人がやおら立ち上がったんです。
子連れでなくとも迷惑客だった…その姿を反面教師に
「彼らは子連れでなくとも迷惑客でしたけどね。ただ、大人だけで行動するのと子供がいるときとでは勝手が違ってくることに対し、意識的にならないといけないんだなと、妻と話しました。大人だけでの息抜きと、子供も含めた家族団欒とでは、たとえいずれも外食だとしても、店選びの基準が変わるよねということをあらためて。子供といつか行きたい店を探しつつも、今のうちに夫婦で大人ならではのお店に行こうねとも盛り上がりました。当日は迷惑しましたけど、われわれ夫婦の円満には寄与してもらったかもしれません(笑)」
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結局ノロケか(!)というのは冗談で、「子連れ様」の言葉を挟んで対立が生まれているのが現代日本だ。
高島さんのような鷹揚さこそが、少子化対策の観点からも求められるものなのかもしれない。
<TEXT/高橋マナブ>
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■子どもと外食する親が、お店で欲しかったもの
寄せられた声の中には、「ファミレスでさえ周囲の目が気になってしまう」「子供が騒がないように対応することで、自分は全く食事ができない」というものもありました。
■子連れかどうかより、大事なこと
その一方で、調査に寄せられた声のように、周りに気をつかいながら、自分はろくに食事もできない親もいます。同じ子ども連れでも、お店での過ごし方は家族によってまったく違うのだと思います。
高島さん夫妻は、この夜をきっかけに、大人だけで楽しむお店と、いつか子どもと行きたいお店の違いを話し合ったそうです。迷惑な出来事も、受け止め方しだいで、夫婦の会話のきっかけになったのかもしれません。
子どもがいてもいなくても、お店で気持ちよく過ごしたいのはみんな同じです。次にお店で、子どもを一生けんめいあやしている親御さんを見かけたら、心の中で「大変ですよね」と声をかけるくらいの余裕を持てると、その場の空気も少しやわらかくなるのかもしれません。
【高橋マナブ】
1979年生まれ。
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