◆JERA セ・リーグ 阪神4ー5巨人(21日・甲子園)
巨人が浅野翔吾外野手(20)の活躍で甲子園で4月27日以来の今季2勝目を挙げた。4回無死一、二塁、左翼線にV打となる先制二塁打。
雨中の甲子園で暗雲を振り払った。二塁ベース上でヘルメットから雨水をしたたらせた浅野は、3度両手をたたいて雄たけびを上げた。「負けが続いてましたし、阪神に勝ちたかった。気合が入ってました」。0―0の4回無死一、二塁、カウント2―2から外角132キロスライダーを振り抜き、左翼線への先制適時二塁打。甲子園通算18打席目で初打点となった一打が、チーム28イニングぶりのタイムリーだ。高松商時代に通算打率6割4分7厘、4本塁打と大暴れした聖地の申し子が、新たな1ページを刻んだ。
浅野劇場は終わらない。
練習前、阪神・森下からバットをプレゼントされた。22年のU18日本代表壮行試合から交流があり、バットの感触をフリー打撃で確かめると実戦に即、投入。同じ22年ドラフト1位でプロ入りした虎の大砲から力を借り「明日以降もこのバットでいきたい」とうなずいた。
4月25日から11日間、過ごした3軍での日々。2軍昇格が決まった5日、駒田3軍監督に感謝を伝えると「浅野翔吾は『こういうお店なんだよ』ということだけはずっと忘れちゃいけない」と最後の助言を授かった。
対阪神3連戦で今季初の勝ち越しを目指し、22日の第3ラウンドを迎える。「高校時代によくやってた場所なので、その時の躍動ができれば。一試合一試合、打てなかったら終わりというぐらいの気持ちで必死に。今は若手の選手が多いのでチャンスだと思って頑張ってます」。がむしゃらな若武者が、思い出の地で巨人に勢いをもたらした。(内田 拓希)