◆東都大学野球春季リーグ戦 第5週第1日▽東洋大7―5中大(22日・神宮)

 東洋大が4点差を逆転して先勝した。「5番・DH」でスタメン出場した西川太基外野手(4年=九州学院)が3回、バックスクリーンへリーグ戦初本塁打となる逆転3ラン。

抜てきした井上大監督(51)の親心に“一発回答”した。

 自らの未来を切り拓く一撃だった。2点ビハインドの3回2死一、二塁。西川は真ん中高めのストレートをフルスイングした。打球は神宮の青空に弧を描き、バックスクリーンに着弾した。大学初アーチはチームに勝利をもたらす逆転3ラン。速度を緩め、ダイヤモンドを一周した。

 「角度よく上がって、途中から『行ったかな』という感覚でした。驚いたというか『入るんだ!』という感じ。うれしかったです」

 5番に登用してくれた井上監督の恩義に報いた。社会人での野球継続を希望しているが、まだ内定は出ていない。「見に来てくれていたら良かったんですけど…お願いします」と頭を下げた指揮官。

西川も「いただいたチャンス。こういうチャンスは多くない。1打席1打席、後悔しないように。ここを逃したら次はない」と覚悟を持って振り抜き、持ち前の打棒を披露した。

 中学は熊本東リトルシニア、高校は九州学院とヤクルト・村上宗隆の後輩にあたる。同じ左打者。中2の冬にはグラウンドを訪れた村上に「練習はウソをつかない」との金言を授かった。その言葉を胸に戦国東都でも自らを磨いてきた。

 8回にはしっかり犠打を決めるなど、小技もこなした。「長打力とストレートを打つことには自信があります。とにかく元気です」と自己PRする西川に、井上監督も「意外とリストも柔らかいんですよ。明るいです」とチームの役に立つ人材だと太鼓判を押した。

(加藤 弘士)

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