◆JERA セ・リーグ 巨人4―2ヤクルト(24日・東京ドーム)

 巨人が泉口友汰内野手(26)の活躍で3位に浮上した。「7番・遊撃」で出場し、4回に東京D初アーチとなる2号ソロを放つと、同点の8回2死一、二塁から左中間を深々と破る決勝の2点二塁打。

大阪桐蔭の大先輩、楽天・浅村が通算2000安打を達成したメモリアルデーに後輩も2安打3打点と大暴れした。先発のグリフィンは勝ち星こそつかなかったが6回を投げ、2戦連続の無失点投球。チームは今季2度目の4連勝で貯金を4とし、3カード連続の勝ち越しを決めた。

 熱き魂を胸に宿し、打ち砕いた。泉口は二塁ベース上で、握りしめた右拳を力強く振り下ろした。同点の8回2死一、二塁。「チャンスで回ってきそうな気がしていた。相手投手をイメージしながら打席に入れた」。カウント3―1からの5球目、田口の外角低め133キロスライダーを振り抜いた。打球は逆方向の左中間を破る決勝の2点二塁打。値千金の一打で4連勝の立役者になった。

 初ものづくしでもあった。

1点リードの4回1死ではフルカウントから先発の吉村の内角カットボールを引っ張り、右翼席への今季2号ソロ。プロ2年目、通算3号が記念すべき東京D初アーチとなった。決勝打を含めて2安打3打点。本拠地初のお立ち台で「最高です」と喜びをかみしめた。

 タフかつ緻密(ちみつ)に戦っている。2年目の今季は開幕2軍スタートながら4月の中旬から遊撃の先発の座を奪取。亀井打撃コーチが「分析するようになりましたね」と明かすように、球場に早く入ると資料室に向かって、データなどを念入りに確認する。試合に出場し続ける難しさを実感しながら「気合ですね。結果を残すという強い気持ち」と頼もしい。リーグ2位タイの得点圏打率4割と勝負強い背番号35の活躍に、阿部監督は「嫌な流れを払拭してくれた一打だった」と目を細めた。

 リスペクトする先輩のメモリアルデーに輝いた。同じ大阪桐蔭OBの先輩である楽天・浅村が史上56人目の2000安打を達成。

泉口の父・武則さんが「友汰が小学校3年生の時に大阪桐蔭の試合をテレビで見て、『大阪桐蔭に入って甲子園で優勝する』と言っていた」と振り返るように、浅村らの代が優勝していた姿を見て、入学への思いを強くした。しかも高校時代は同じポジション。「大阪桐蔭で歴代ナンバーワンショート。すごく尊敬している」と目を輝かせ、快挙を祝福した。

 自身も大阪桐蔭での日々があったからこそ成長。「人間力が大事だと学んだ」と、全国屈指の強豪でグラウンドでの厳しい練習や競争だけでなく、日常生活から心技体で己を磨いてきた。プロ入り後も「準備が大事」と語る男の原点は高校時代にある。

 チームは競り勝ち、4連勝を飾った。不動の4番・岡本が左肘のじん帯損傷で離脱する状況で、その主砲からもらったバットとアームスリーブを使用する泉口が奮闘している。「(岡本)和真さんがけがで離脱して穴はでかいけど、今こそチーム一丸になって戦いたい」。成長著しい背番号35が勢いそのままに駆け上がる。(宮内 孝太)

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