◆日本生命セ・パ交流戦 2025 ソフトバンク3―7巨人(11日・みずほペイペイドーム)
巨人・西舘勇陽投手(23)はバットが空を切ると声を出し、グラブをたたいた。反撃の2点を許し、7―3となった7回2死二塁。
5回4失点で負け投手になった昨年8月23日の中日戦(東京D)以来となる先発のマウンドだった。6―0の3回1死一、三塁で周東に左前適時打を浴び1点を失い、7回にも2失点で「7回(を迎える)までは全部先頭を切れていた中、走者を出してからの投球が課題」と反省もあった。それでも最速153キロの直球にカット、フォークなどで4回以外毎回の6K。安定感のあるゲームメイクを披露して「3回ぐらいから疲れは一緒ぐらいだったので、1イニングずつ」と力を出し切った。
23年のドラフト1位右腕は、昨年11月から約7週間、プエルトリコWLに参加。異国の地で精神面も鍛えられた。もともと口下手で物静かな性格。言葉が通じない中、仲間と意思疎通を取るには殻を破らなければならなかった。
春季キャンプ時には、投球時に左足を斜めに引きつけるように上げていたが、「楽に、体力的にもできるだけ動きをシンプルに」と久保巡回投手コーチと試行錯誤し、真っすぐに上げるように変更。フォークやカーブにも磨きをかけ、2軍では先発2登板含む8試合で3勝0敗、防御率1・06と結果を残して先発のチャンスをつかんだ。
10日の試合で7投手をつぎ込んでおり、先発として粘った意味は大きい。次回先発について杉内投手チーフコーチは「その予定だと監督には聞いていますけど」と明かした。「次も頑張ります」と西舘。ワンチャンスをものにして、ここから勢いに乗る。(水上 智恵)