◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人2―1日本ハム(18日・東京ドーム)

 巨人が日本ハムとの接戦を制し連敗を4で止めた。同点で迎えた7回1死二塁で、丸佳浩外野手(36)が決勝の中越え二塁打を放った。

先発の西舘勇陽投手(23)が7回5安打1失点で自身2連勝の2勝目。本拠・東京Dではうれしいプロ初勝利となった。阿部慎之助監督(46)の勝負手がズバズバと的中し、今交流戦初の逆転勝ち。1日で勝率5割に戻し、交流戦最下位を脱出した。

 頼りになるベテランが救った。丸が執念の一振りで仕留めた。快音を残した白球は歓声に押され、前進守備の中堅手の頭を越えていく。「チャンスだったので、積極的にいった。何とか気持ちで、外野を越すことができて良かった」。勝ち越しの決勝適時二塁打。二塁ベース上、自らのヘルメットを両手で交互にたたきながら、歓喜を分かちあった。

 燃えていた。

同点の7回1死二塁。同学年の小林が犠打で好機を拡大して迎えた直後の打席だった。「試合序盤にベンチで楽しそうに声出してる(小林)誠司がすごい真剣な表情で送りバントを決めている姿を見て『俺も頑張んなきゃな』と」。1ストライクから池田の外角低め149キロ直球を捉えた。昨季リーグVに導いた“定位置”の1番で、今季3度目の起用。2試合連続は初だった。結果で応えた姿を阿部監督は「ベテラン2人(丸と坂本)に託している。率とか以外の相手に対するプレッシャーだったりを目的に1、2番に置いている。すごくいい仕事をした」と称賛した。

 この舞台での活躍だけを信じてやってきた。今季は開幕前の3月22日に右大腿(だいたい)二頭筋筋損傷で離脱する悔しいスタート。「焦っても仕方がない。

やるべきことをやるしかない」。前だけ見据えて、再出発した。受傷の2日後にはスローボール打ちを敢行。リハビリの一環として取り組んだプールには50日間のうち35日通った。

 グラウンドを離れても最善を尽くし続けた。患部の炎症が治まってからは、血行を促進するために自宅で交代浴。食事では肉離れの修復を早めるアミノ酸などの栄養素を積極的に摂取した。回復に役立つマグネシウム入りの入浴剤も主砲の岡本から勧められてチャレンジ。「皮膚からも吸収するらしくて、和真が『これええっすよ』って教えてくれて、速攻で買って使った。やれることはやろうと思っていたからね」。全ては勝利に貢献するための行動だった。約8週間のリハビリの担当だった種田トレーナーは「(人間にあるとされる)37兆個、全部の細胞が治ろうとしていた」と言う。

妥協なき姿勢で取り組んだ努力はウソをつかなかった。

 3回2死で左前安打を放ち、巨人での交流戦100安打目をマーク。5人目の2チームでの交流戦100安打を達成した。6試合連続安打と波に乗りつつある男の存在は心強い。今季初のお立ち台では「明日勝って貯金ができるようにチーム一丸となって頑張りたい」と誓った。連敗を4で止め、一夜で勝率5割に復帰。巻き返しへ背番号8が最高の追い風を吹かせた。(宮内 孝太)

 ◆24年の丸の先発1番 丸は昨季、チームの開幕26試合目となる4月28日のDeNA戦(横浜)から1番で固定された。4月26日までは19試合を3、5、6、7番で先発し、チームは7勝10敗2分けの勝率.412。4月28日以降は114試合を全て1番で先発し、チームは62勝47敗5分けの勝率.569。勝率が一気にアップした。

 ◆2球団での交流戦100安打以上

 新井貴浩(神=159、広=148)

 内川聖一(横=146、ソ=149)※他にヤ=1

 村田修一(横=177、巨=112)

 ラミレス(ヤ=125、巨=112)※他にD=36

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