◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人1―4日本ハム(19日・東京ドーム)

 巨人が日本ハムにあわやノーヒットノーランという完敗を喫し、4試合を残して交流戦優勝の可能性が消滅した。相手先発・北山の前に7回2死まで完全投球を許し、ノーヒットが続いていた9回1死から大城卓三捕手(32)が右翼席へ3号ソロを放ち、不名誉な記録を阻止した。

しかし、この1安打1得点のみ。先発の山崎伊織投手(26)は5回10安打4失点と振るわず、首位・阪神とのゲーム差も5に広がった。借金1からの巻き返しを期し、20日からは本拠で西武3連戦に臨む。

 ノーヒットノーランを土俵際で阻止したのがせめてもの意地だった。0―4の9回1死、27人目の打者・大城卓が右翼席にソロ本塁打。待望のチーム初安打に本拠地は大歓声に包まれた。達成されていれば02年に中日・川上憲伸に喫して以来、球団23年ぶり9度目だった屈辱をなんとか回避。1安打1得点で敗れたが、阿部監督は「最後ね、何とか意地を見せてくれたので。今日はそれでいいです」と淡々と現実を受け止めた。

 序盤から右腕・北山の緩急自在の投球に苦戦。150キロ台の速球に140キロ前後のフォーク、カットボール、130キロ前後のスライダー、カーブでタイミングを外された。7回の攻撃前にはベンチ前で二岡ヘッド兼打撃チーフコーチを中心に円陣を組んで対策を再確認。

7回2死、泉口が四球を選んで完全投球を阻止するも後続が倒れた。「こちら側の指示の仕方も悪かったんだなと思って。反省しています」と指揮官。完投勝利の北山の前にフライアウト15、ゴロアウト7、三振5と術中にはまった。

 交流戦は4勝9敗1分けとなり優勝の可能性が消滅。2年連続の負け越しが決まった。14試合で31得点、1試合平均2・2得点。大城卓の本塁打は、チーム9試合ぶりの一発だった。岡本不在で得点力不足に陥っている中でどう点を取るか。巨人打線がやりたい野球をこの日、日本ハムにやられた。五十幡、矢沢の俊足1、2番コンビに足で揺さぶられ、犠飛やバント、巨人守備陣が阻止したが一、三塁から重盗も仕掛けてきた。全12安打のうち長打は二塁打1本。

絶好調の山崎が5回4失点と攻略された。阿部監督が目指す、相手を考えさせる野球を実践され主導権を握られた。

 この3連戦はオレンジユニホームを着用する「橙魂シリーズ」として行われ東京Dは連日、大観衆で熱気があった。前日18日に勝率5割に戻したが再び借金1。セ・リーグ「ひとり勝ち」の首位・阪神と5ゲーム差に開いた。リーグ4位からの逆襲へ残り76試合。シーズンは半分以上ある。9回の大城卓の一発はプラス要素。阿部監督も「チームとして(次に)つなげてほしい」と前だけを見ている。

 試合後、野手陣は悔しさを胸にベンチ裏で打撃練習を行い黙々とバットを振ったという。まだまだこれから。下を向く必要はない。

20日からカードが変わって西武との3連戦。大記録寸前まで追い込まれた事実を巻き返しへの反発力に変えられるか。巨人ナインの真価が問われている。(片岡 優帆)

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