◆JERA セ・リーグ DeNA1―2巨人=延長11回=(11日・横浜)
巨人が4番の一撃で、プロ野球史上初めて10試合連続1点差以内となった一戦を制した。2戦連続で「4番・三塁」で出場した坂本勇人内野手(36)が、延長11回にDeNA・颯から決勝2号ソロ。
ナインとG党の希望を乗せた坂本の打球は、確かに左翼席へ届いていた。スタンドではねて戻ってきた白球を見て二塁ベースで止まっていたが、右手を回す塁審を確認すると、笑顔で右手人さし指を上げながら走り出した。DeNAからのリクエストによるリプレー検証でも判定は変わらず「ホームランじゃないと思ってたけど良かったです」。延長11回、先頭で決勝の2号ソロ。プロ野球初の10戦連続1点差以内となった激闘に、4番が終止符を打った。
2球目の内角133キロ直球をフルスイングで打ち砕いた。先発のケイから速球派4投手の継投が続いていた中、「イメージはあったので、一振りで仕留められたっていうのは良かった」と下手投げ右腕・颯の浮き上がるボールを捉えた。4番での一発は15年6月7日のソフトバンク戦(東京D)以来、通算6本目。阿部監督は「いやあ、助けてもらった」と2試合連続の4番起用に応えた背番号6を称賛した。
名門の看板を背負い続けてきた男が、胸に秘める思いがある。夕暮れまで汗を流してきた昨オフの沖縄合同自主トレと春季キャンプ。グラウンドや夜の宿舎で若手と時間を過ごしながら、ふと「俺は若い選手がもっと泥だらけになって練習している姿が見たいんだ」とこぼした。昨季は野手一番乗りで球場入りすることもあった。次代を担う後輩に期待しているからこそ、抱えていた思いだった。それに応えるように、春季キャンプで居残り練習を行う選手は10人を超えた。萩尾は「勇人さんがやっているから。やらないわけにいかない」と語った。
ファーム調整中は朝から夕暮れまで汗を流した日もあった。この日、練習中にスタンドへ目を向けると「2軍にいる時も来てくれていた」とG球場に足を運んでくれていた少年の姿が目に入った。球団関係者を通じ、少年から紙袋に入ったリストバンドを受け取り「いいところを見せられて良かった」と予期せぬ贈り物に喜びながらうなずいた。
今季2度目のヒーローインタビュー。
記録メモ 延長戦を制した巨人は6月29日のDeNA戦から10試合続けて1点差以内の接戦。これまで1点差以内の連続試合は、40年7月22日~8月10日の名古屋、67年5月18~28日の東京で9試合が最多。10試合続いたのは今年の巨人が初めて。