◆JERA セ・リーグ DeNA1―2巨人=延長11回=(11日・横浜)

 千両役者らしい、さすがの集中力だった。丸が一振りで試合を振り出しに戻した。

1点を追う8回2死三塁。カウント1―1からの3球目、ケイの真ん中低め150キロ直球を打ち砕いた。7回まで無得点に封じられてきた左腕から左中間を破る同点二塁打。「(先発の山崎)伊織が頑張ってくれていたので、何とかタイムリーを、と思って打席に入りました」。二塁ベース上、ヘルメットを両手で交互にたたくパフォーマンスで盛り上げ、最後は白い歯をのぞかせながら右腕を振り下ろした。

 求めてきた勝負強さを発揮している。シーズン開幕前。自らに言い聞かせるように言った。「ここ一番で打てるか。得点圏打率とは別の、ここで打つか打たないかで試合の局面が変わったり、勝敗が決まったりという場面で打てるかどうかを大事にしていきたい」。誓いを体現するように、8日の中日戦(山形)では9回に右中間へ逆転サヨナラ2点三塁打。この日も重苦しい雰囲気を振り払い、再びチームを救った。

 決勝弾の坂本とともにベテランが窮地を救い、阿部監督は「チームが厳しい状況なので、やっぱり頼りになるのは困った時のベテランってよく言うんだけど、その2人(丸と坂本)が引っ張ってくれて心強いですね」と最敬礼した。丸は「僕もそうだし、勇人さんもまだまだこんなもんじゃ物足りないと思ってお互いやっていると思う。必死に食らいついていくしかない」と力を込めた。豊富な経験を生かし、勝利に導く一打を追い求めていく。(宮内 孝太)

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