東東京では、巨人・二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ(49)の長男で青山学院のエース右腕・二岡択実(3年)が先発し、7回4安打1失点。初戦突破に貢献。

昨年の右肘手術から最後の夏に復活した。

 背番号1の誇りを胸に、二岡が神宮で力投した。130キロ台の直球とスライダー、カーブ、チェンジアップで果敢に勝負。6回には味方の失策絡みで1点を献上したが、失点はこれだけ。多摩大目黒の打線を手玉に取り、青山学院を勝利に導いた。昨秋の新チーム発足後、公式戦初白星だった。

 「素直に勝ててうれしかったです。父からは野球をやる上で、『何事も冷静に』と言われています。それが出せた」。打たせて取る投球で7回4安打1失点。魂の108球に胸を張った。

 「小さい頃から、テレビをつければ毎日、父が出ていて。

一番近くに大きな存在がいたので、野球をやりたいと思いました」。小3で野球を始め、父と同じ内野手として白球を追った。高校では投手に挑戦したが昨春の東京大会後、右肘を故障。夏に手術を受けた。チームは5回戦に進出したが、貢献できないもどかしさがあった。

 「去年の夏は1球も投げられなかった。本来なら自分が投げるはずが、先輩たちに迷惑をかけた」。昨秋、今春の公式戦も登板できず。だが、復活へ必死に取り組む姿は「夏には、択実にエースナンバーを背負って投げてほしい」とチームメートの心に火をつけた。5月には全力投球が可能に。高校最後の夏、間に合った。

 父からは試合前夜、「ゾーンで勝負して、楽しんでやってこい」と送り出された。

躍動した二岡に、若林大監督(38)は「身体能力の高い選手。まだ100%の力は出せていない。彼の取り組んできた姿勢をみんな見てきた。だからこそ価値のある1勝」と称賛した。「最後なので悔いのないように、勝ち負け関係なく楽しんでいきたい」とエース。次戦は15日の麻布戦。仲間との熱い夏は、まだまだ終わらせない。(加藤 弘士)

 ◆二岡 択実(におか・たくみ)2007年6月10日、東京・品川区出身。18歳。小3から御殿山ファイターズで野球を始め、青山学院中等部では大森ホワイトスネークスで軟式野球をプレー。青山学院では1年夏からベンチ入り。178センチ、73キロ。

右投右打。

 巨人・二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ(現地で観戦)「手術して、リハビリして、最後の夏、またこうやって投げられたことが一番良かったのかな、と思います」

 ◆今夏の主なプロ2世球児

 ▽古城大翔(2年・内)=花巻東(岩手) 父は巨人・古城茂幸内野守備走塁コーチ

 ▽エミール・プレンサ(3年・投兼外)=幸福の科学学園(栃木) 父は横浜や中日などで活躍したドミンゴ・グスマン

 ▽三沢由和(3年・外)=早実(西東京) 父は巨人・三沢興一3軍投手チーフコーチ

 ▽朝倉大空(3年・外)=東邦(愛知) 父は中日・朝倉健太プロスカウト

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