◆第107回全国高校野球選手権秋田大会 ▽2回戦 金足農7―0由利=7回コールド=(11日・グリーンスタジアムよこて)

 秋田では、2018年夏の甲子園で準優勝し「金農旋風」を巻き起こした金足農が、2年連続の夏の聖地へ7回コールド発進。当時のエースだったオリックス・吉田輝星(24)の弟、エースの大輝(たいき・3年)が5回無失点と快投した。

 夕日が差し込む秋田の地に、大きな声が響き渡った。金足農が6点リードで迎えた5回2死。1ボール2ストライクから吉田が雄たけびと共に投じた141キロの直球に、バットは空を切った。

 「流れが来ていたので、気を入れた。浮いてしまったが、気持ちがこもっていたので三振がとれた」。今夏初のマウンドは5回を投げて2安打無失点。最速は142キロを記録し、由利打線を封じ込めた。コールドでの快勝発進に「勢いづく1勝になったと思います」と胸を張った。

 6月に兄・輝星がかつて甲子園決勝の舞台で敗れた大阪桐蔭を秋田に招待し、練習試合を行った。敗れたものの、吉田は「全国上位レベルと対戦させてもらって、通用するところ、ダメなところが分かって、自信になった」と確かな手応えを得て、夏の初戦に臨んだ。

 この日は、18歳の誕生日に兄からプレゼントされたグラブを手に登板。開会式前日にはLINEで「もう一回甲子園行けよ」と激励を受け「今年絶対行くから、また見に来てね」と返した。

夏の県2連覇に向けて「最後の夏、死ぬ気でやりたい」と気合は十分。兄の思いも背負い、夏の聖地に向けてエースは腕を振る。(高澤 孝介)

 ◆吉田 大輝(よしだ・たいき)2007年4月23日、秋田・潟上市生まれ。18歳。小1時に天王ヴィクトリーズで野球を始める。天王中では軟式野球部。金足農では1年春からベンチ入り。1年秋からエースナンバー。昨夏甲子園は1回戦敗退。179センチ、85キロ。右投右打。家族は両親と兄のオリックス・輝星。

 ◆同じ高校の背番号1で甲子園に出場した兄弟 金足農・吉田大輝は昨夏、同校のエースとして18年夏甲子園準Vの兄・輝星(5勝)に続き、同じ学校の「1」で甲子園出場。兄弟とも「1」で甲子園に出場した例には、上尾の仁村徹(79年夏0勝)・健司(80年春1勝)。市川(山梨)の樋渡卓哉(91年春夏計5勝)・勇哉(94年夏1勝)。八戸学院光星の洗平歩人(22年夏0勝)・比呂(23年夏、24年春計1勝)らがいる。

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