◆第107回全国高校野球選手権兵庫大会▽2回戦 東洋大姫路9―2高砂=7回コールド=(11日・ウインク)

 兵庫はV候補の東洋大姫路が今夏初戦(2回戦)を7回コールド勝ちした。最速147キロ右腕の木下鷹大(ようた)が9安打2失点で完投。

一方で右肘のじん帯損傷で戦線離脱していた同じ最速147キロ右腕・阪下漣(ともに3年)が背番号10でベンチ入りし、ヤクルト・原樹理を擁した2011年以来14年ぶりの夏の甲子園へ大きな戦力が戻った。

 ダブルエースが無事にそろい、東洋大姫路が夏のスタートを切った。背番号1の木下は9安打を浴びて何度もピンチを招きながら、要所を締める投球で7回2失点。一方で3回の3者連続を含め、9三振を奪った。「初戦の緊張感もあって思うように投げられなかったけど、結果的に(回ごとの)最少失点で抑えて勝てたのは良かった」。122球を投げ抜き、役割を果たした。

 センバツまで1番を着けた阪下は、ベンチで仲間のサポートに奮闘した。「阪下がいるとチームが活気づく」と木下。今大会は当初登録外だったが、変更期限の初戦に合わせ、背番号10でセンバツ以来のベンチ入りを果たした。練習では1週間前からすでに4度ほど、ブルペンで捕手を座らせて投球。岡田龍生監督(64)は「計画的にリハビリをしてきて、順調にいけそうという判断。(登板は)もちろん(ある)。

そうでないと入れない」と、今大会での起用を示唆した。

 阪下に代わってエースナンバーを背負う木下だが、昨秋は自身が故障でベンチを外れた。「俺がセンバツに連れて行くから、一緒に投げよう」。阪下は宣言通り、絶対的エースとして神宮大会4強へとチームをけん引。センバツ切符を勝ち取り、復帰した木下は背番号11で聖地に立つことができた。一方の阪下は右肘のじん帯損傷が発覚。最後の夏に間に合わせようと必死にリハビリに励む盟友に、今度は木下から声をかけた。「甲子園に連れて行くから、夏は一緒に投げよう」。この日、約束の一歩目が踏み出された。

 チームは今春の近畿大会で、大阪桐蔭が根尾(中日)、藤原(ロッテ)ら「最強世代」で17年秋、18年春を制して以来となる秋春連覇を成し遂げた。阪下が「ダブルエースって呼ばれるように、自分がもっと上げていかないと」と覚悟を決めれば、「目標の全国優勝まで、勢いづけてやっていきたい」と木下。左腕・末永晄大(3年)のベンチ入りはならなかったが、14年ぶりの夏の甲子園へ、希望たっぷりの初陣突破だ。

(瀬川 楓花)

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