◆第107回全国高校野球選手権兵庫大会▽2回戦 明石商7-3北須磨(11日・明石トーカロ)
兵庫では北須磨の女子部員・林礼菜外野手(3年)が試合前のノッカーで登場。試合は2年連続準Vの明石商に敗れた。
試合前の会場の視線を一身に集めた。女子部員の林はシートノックのノッカーを務め、力強く正確な打球で仲間を鼓舞。「(公式戦では)みんなと唯一グラウンドに立てる時間。3年間の思いが込められた」と、唯一無二の時間をかみ締めた。2年連続準Vの強豪に善戦も、4点差で敗退。「みんなと野球をできないのがさみしい。3年間は宝物」。こぼれ始めた涙は、試合後まで止まらなかった。
規定により、女子選手は公式戦への出場ができない。女子野球部のある高校への進学も考えたが、林の野球熱は冷めなかった。「ソフト部と迷ったけど野球が好き。先輩も優しかった」と、入学後に入部を決意。
「粘り強さ、諦めない心を学んだ」。野球部での経験が生きると信じ、卒業後は警察官を目指す。「キラキラするのはこれから。いろんな人から頼られる警察官になりたい」。明るく宣言した林の頬から、涙は消えていた。(松ケ下 純平)
◆林 礼菜(はやし・れいな)2007年11月26日、静岡・沼津市生まれ。17歳。北須磨小1年時に軟式の北須磨少年クラブで野球を始め、高倉中では女子軟式チームの神戸レッドガールズでプレー。北須磨では1年から公式戦でボールパーソンを務める。