◆第107回全国高校野球選手権新潟大会▽2回戦 十日町13―0高田農=5回コールド=(12日・佐藤池)

 高田農は十日町にコールド負けを喫したが、5番・右翼で先発出場した長谷川旺希外野手(2年)が、2打数1安打1盗塁の活躍でチームを先導した。

 「きれいにレフトの方向に引っ張れた」。

2回1死からの第1打席、3球目の真ん中低め直球を打ち返して左前安打。「目標にしているのは坂本勇人さん(巨人)」と本家譲りのシャープなスイングから、左腕1本で放った納得の一打。これがチーム唯一の安打となった。

 生まれつき右指が5本とも付け根から欠損しており、右手でボールやバットを握れない。バッティングでは、構えるときは両手をバットに添えるものの、振り抜く瞬間は左腕一本。また守備では、左手にグラブをはめて捕球し、送球するときは瞬時にグラブを右腕に抱きかかえて、左投げで送球する。

 野球は3つ上の兄・成希さんがプレーする姿をみて、幼稚園の年長から始めた。しかし、高田農の入学当初はマネジャーを希望した。母の由美さんは「幼年時代は(右指の欠損を)あまり気にしていなかった。でも成長するにつれて徐々に人と違うところを気にするようになっていった」と明かした。それでも、松嶋純平監督から「おまえは選手だ」と直々に指名を受けると、今では2年生ながらチームの主力に成長した。

 「あきらめない心が大事」と力をこめた旺希。

3年生となる来夏は、本格的に投手にも挑戦予定。誰よりも強く、勇ましく戦って、高田農に2022年以来の夏初戦勝利をもたらす。

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