◆米大リーグ ジャイアンツ8―7ドジャース(11日、米カリフォルニア州サンフランシスコ=オラクルパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が11日(日本時間12日)、敵地・ジャイアンツ戦に「1番・DH」でフル出場し、日本人初の“スプラッシュヒット”となる一時逆転の32号2ランを放った。チームは逆転負けを喫し、17年9月2~11日に11連敗をして以来8年ぶりの7連敗。

12日(同13日)には先発登板予定。投打で連敗ストッパーとして期待がかかる。

 場外へと消える放物線を、大谷は走り出すことなくじっくりと見つめた。1点を追う3回1死三塁。先発右腕・ウェブの内角に食い込むカットボールを振り抜くと、打球は右翼後方のマッコビー湾へと飛び込んだ。一時逆転となる2戦ぶりの32号2ランに、敵地のファンも総立ち。海上では約20隻のボートに乗って待ち構えたファンによるボール争奪戦が繰り広げられた。

 オラクルパークの右翼場外の海へ飛び込むアーチは「スプラッシュヒット」と言われる。ただ、同ヒットとして正式に認定されるのはジャイアンツの選手のみ。ビジターの選手は“参考記録”となるが、日本人では初めて。飛距離410フィート(約125メートル)の一発は、ドジャースの選手では21年5月22日のマンシー以来4年ぶりだった。

 昨年5月14日、右翼席の通路でバウンドした末にボールが場外へ出るアーチを放ち「行かなかったので、ちょっと残念でしたけど、またチャンスがあれば頑張りたい」と語っていた。

史上最多のスプラッシュヒット35本など歴代最多通算762発のボンズが活躍した球場とあって「バリー・ボンズさんがいっぱいホームラン打ってる映像とかずっと見てきたので、プレーできてよかった」とも話していた。2年越しで思いを形にした。

 チームは投手陣が崩れて8失点。最大6点差を1点差まで詰め寄ったが、8年ぶりの7連敗となった。ロバーツ監督は「戦い続ける姿勢は見られて、打線も守備もよかった。あと一歩、及ばなかったけど前向きなこともあった」と必死に気持ちを切り替えていた。

 12日(日本時間13日)は、大谷が先発のマウンドに上がり、2、3イニングを投げる予定だ。これまで前日に本塁打を打って登板すると14戦で9勝無敗。6月28日の敵地・ロイヤルズ戦でも前日に29号を放ち、MLBの公式戦では自己最速の101・7マイル(約163・7キロ)をマークした。

 この日の試合前はキャッチボール中に打者ミーティングがあったため急いでロッカーに戻り、17分後に再び戻る珍しい光景も。前半戦も残りは2試合。ロッカーには、すでにオールスター用のカバンも用意されていたが、投打で大暴れするしかない。

(安藤 宏太)

 ◆スプラッシュヒット ジャイアンツ本拠オラクルパーク右翼場外のマッコビー湾へ飛び込んだジ軍選手による本塁打の呼び名。00年の開場からこれまで106本誕生している。ビジター選手の場合は「その他マッコビー湾への本塁打」との名称で球団公式サイトにまとめられている。大谷は敵軍通算65号で、両軍通算171号。ド軍選手では9本目。10年8月10日には当時カブスの福留孝介が場外弾を放ったが、着水前に観客席後方の旗に当たっていたため“マッコビー湾弾”にカウントされていない。

 ◆大谷の記録

 ▽前半32発 前半戦32本塁打は、自己最多だった21年の33発に王手。

 ▽95戦32発 開幕からチームの95試合で32本塁打は、1番打者としては23年ベッツ(ドジャース)の27本を上回り最多。ド軍では1955年スナイダー、00年シェフィールドの33本に続く3位。

 ▽2打席目本塁打 2打席目の本塁打は5月3日以来62試合ぶりで今季4本目。

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