今季からブルージェイズのスタッフに加わった紅一点。管理栄養士の讃井(さぬい)友香さん(30)だ。

2022年からブ軍傘下のマイナーに所属。1Aバンクーバー、3Aバファローを経て4年目でメジャーに“昇格”し、栄養面からチームをサポートしている。

 「シーズン半分が過ぎたけど、あっという間でした。マイナーでは選手も若く、まず、栄養面の“アウェアネス(認識)”から指導しますが、メジャーは選手の意識も高く、個々の要望に応じ、けが防止やパフォーマンス向上につながるサポートを目指しています」

 米オハイオ州生まれ。オハイオ州立大を経て、コロラド大コロラドスプリングス校の大学院で栄養学を学んだ。東京五輪で正式種目に採用された7人制ラグビーの米国代表チームのサポートに携わったのが、2019年。岡山県美作市で行われた米国チームの日本合宿では栄養士としてはもとより、通訳、渉外に至るまでマルチに活躍した。「すごく達成感があった」と振り返る。

 「チームに帯同することは非常に重要です。朝、何を食べたか、夜は何を食べるべきか。日々のフィードバックから、アジャストして、個人に合ったアドバイスができるので」

 単発でのレクチャーではなく、天候の変化や移動、ストレスの度合いなどを見極めつつ、日々、摂取するものを最良化し、パーソナル化されたサポートを目指している。

 6月29日(日本時間30日)、敵地レッドソックス戦のデーゲーム前。

讃井さんは、ロッカーの名札を確認しながら補助食品を準備していた。熱中症予防としてチーム全体には水分補給を助けるココナツ・ウォーターをベースに、ベリー類や赤い根菜であるビートルートのパウダーなどが入ったドリンクを用意する一方で、先発マスクをかぶったハイネマン捕手には、紫色のスムージーを作った。

 「彼は先発の日、緊張で食事が取りづらいんです。だから、高脂肪の牛乳、アーモンドバターでカロリー補給し、ブルーベリー味のプロテイン・ドリンクなら飲みやすい」

 幼少期には日本に住んだ時期があり、完全なバイリンガル。チームの日本人スタッフには、日本ハムで現役引退後、フロントに転身した加藤豪将オペレーション補佐もいる。

 「2人で話す時は、英語と日本語どっちもですね」

 日本選手が続々メジャー挑戦する中、通訳のみならず、トレーナーなどのメディカル・スタッフやデータ分析等の分野で活躍する日本人も増えた。現在、日本人選手は所属していないブ軍だが、裏方では、日本人スタッフが献身的にチームを支えている。

編集部おすすめ