◆第107回全国高校野球選手権大阪大会▽2回戦 大阪桐蔭26―0港=5回コールド=(12日・GOSANDO南港)
大阪は、2年連続の甲子園出場を目指す大阪桐蔭が、今夏初戦(2回戦)で5回コールド勝ちした。今秋ドラフト候補の最速153キロ右腕・森陽樹(3年)が、NPB5球団のスカウト陣の前で3回完全投球を披露した。
圧巻の31球だった。開幕マウンドを託された大阪桐蔭の森は「初戦が一番大事。自分が勢いを持って入って、チームに流れをという意識で投げた」と胸を張った。初回は2者連続三振で幕開け。2回はわずか9球で片付けると、3回2死で迎えた最後の打者は、たった1球で三ゴロに仕留めた。
新フォームも披露した。米大リーグ・レンジャーズのデグロムを参考に、左足を真横に出すノーワインドアップで投球。「今一番、バランスが良い」とサイ・ヤング賞右腕にも感謝の快投だ。序盤こそ高めに浮く球があったが「打者に入り込んで、しっかり足を使って投げると言い聞かせた」と集中。力感のない腕の振りでも、最速147キロを計測した。視察した巨人の水野編成本部長代理スカウト担当は「一度、投げている姿を見たかった。真っすぐの走りはよかったと思う」と評価。
今大会は背番号10。春に続き、同じプロ注目右腕・中野大虎(だいと・3年)にエースナンバーを譲った。「声を出したり、背中で引っ張って行くのが自分はまだまだ。(中野は)自分より、人として1個(一段)上」。ともに下級生から主戦として投げ、切磋琢磨(せっさたくま)してきたからこそ、ライバルに足りない部分も分かっている。
最も大切なのは大阪大会を制し、甲子園行きの切符を勝ち取ること。森は真っすぐ前を向いた。「正直、悔しかった。結果で見せようと思っています」。まだまだ序章。背番号「1」を託されるのにふさわしい、圧倒的な存在へ飛躍する。