◆JERAセ・リーグ 中日7―1広島(12日・バンテリンドーム)

 9回、大きな拍手に迎えられた。中日・大野雄大投手(36)がマウンドを守り切った。

先頭の中村健に四球を与え、小園には中越えへ適時二塁打。前回に続き、目前で完封を逃したが、4安打1失点で3年ぶりの完投だ。22年8月12日の阪神戦(京セラD)で完封して以来、1065日ぶりに27個のアウトを取り「それで十分。完封は特別だけど、最後まで投げ切れた」と達成感に浸った。

 4日のヤクルト戦(バンテリンD)では、無失点で迎えた9回に左ふくらはぎがつって降板。「きょうもつりかけたけど、何とか」と108球を投げ抜いた。8回まで二塁を踏ませない投球。全盛期の直球とツーシーム、フォークでの組み立てに加え、横の変化も駆使した。「それが生きた」と新人捕手の石伊に感謝。自身3連勝で5勝目だ。

 沢村賞に輝いた20年は20登板で10完投の左腕も、過去2年は7回が最長。23年に左肘手術もあり「もう(完投)できひん(できない)と思いました」とこぼした。

術後の違和感が消えたのは、1年以上が経過した昨夏。オフは肩肘を休ませずに今季を迎えた。さらに「5、6回(で交代)というイメージがつき、自分の中にも少しあったけど、前回で自信が戻った」と力強くうなずいた。

 左腕エースの大先輩で、若手時代のコーチである今中慎二氏に並ぶ通算91勝目に「完投しまくった今中さんに、完投で並べてうれしい」と笑顔。チームとしては、今季82試合目で初の完投勝利だ。最近13試合は大野以外の先発投手に白星がないが、3連勝で8カードぶりの勝ち越しを決め、逆襲ムードをつくった。(安藤 理)

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