◆第107回全国高校野球選手権大会 神奈川大会 ▽2回戦 慶応12―0慶応湘南藤沢=5回コールド=(12日・バッティングパレス相石スタジアムひらつか)

 神奈川では、慶応と慶応湘南藤沢による夏の大会では史上初の「KEIO対決」が実現。慶応のスーパー1年生・湯本琢心(たくみ)が投打に活躍し、3回戦に進んだ。

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 グレーのユニホームに、濃紺の文字。一見区別がつかない2つのチームがグラウンドを駆け回った。夏の大会初めての“KEIOダービー”を制したのは慶応。ひときわ光ったのは、スーパー1年生の湯本だった。

 中学時代、春日部ボーイズで全国制覇を経験した最速139キロ右腕が「7番・投手」で公式戦初登板、初先発。「投げてる時も応援歌が聞こえ、自分が応援されている気がした」。スタンドから聞こえる同じ応援歌をBGMに、腕を振った。

 投げては3回28球で無安打無失点。直球、スライダー、カットボールを駆使して、慶応湘南藤沢打線を抑え込んだ。「バックが堅い守備をしてくれるのを信じて気楽に投げることができた」。打っても初回2死三塁から中越えに2試合連続となる適時三塁打を放ち、自らを援護した。

 「気持ちがつくりやすいのが投手、自信があるのがバッター」と話す15歳。

10日の1回戦(厚木西戦)後に先発を告げられ、11日にはさっぱりと散髪して臨んだ。「カメラ写りを気にしているのか」とツッコミを入れた森林貴彦監督(52)だが、「いいスタートを切ってくれた」と満足げにうなずいた。

 試合は12―0の5回コールドで一方的な展開に。「史上初ということで立ち会えたことは光栄に思う。夏はどちらかの夏が終わってしまうので正直やりたくなかった」と指揮官は相手を気遣った。「体力不足でスタミナ切れになってしまったが、楽しかった」という笑顔を見せた湯本。湘南藤沢ナインの思いも背負い、全国制覇した23年以来の夏の甲子園へと突っ走る。(渡辺 朋美)

 ▼「KEIO対決」春秋は過去3度

「KEIO対決」は夏、初顔合わせ。春と秋の県大会では過去3度対戦。慶応から見た勝敗は

〈1〉07年春3回戦(4月14日・等々力)○7―0=8回コールド

〈2〉07年秋4回戦(9月16日・横須賀)○2―1

〈3〉13年春2回戦(4月14日・日吉台)○10―0=5回コールド

 この日の1勝で、慶応の4戦4勝となった。

 ◆湯本 琢心(ゆもと・たくみ)2009年9月1日、埼玉・越谷市生まれ。15歳。

小1から蒲生ユニオンズで野球を始め、中学時代は春日部ボーイズで投手、右翼手。3年春の全国大会で優勝し、MVP。8月には東日本報知オールスター埼玉東選抜入り。慶応では1年夏に背番号9で初のベンチ入り。179センチ、78キロ。右投左打。

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