◆第107回全国高校野球選手権千葉大会 ▽2回戦 佐倉10―2千葉工=8回コールド=(12日・袖ケ浦市営)
千葉では、長嶋茂雄さん(享年89)の母校・佐倉が8回コールドで大勝発進。天国のミスターに白星をささげた。
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客席の佐倉OBに長嶋さんの思い出を聞くと、誰もが瞳を輝かせた。元巨人投手の山岡勝さん(63)は「私を野球の世界に導いてくださった方」と言った。2年秋、千葉4強の原動力に。力投が巨人スカウトの目に留まった。東京六大学への進学を志していたが、長嶋さん直々のラブコールを受け、ドラフト外で巨人入り。巨人と近鉄で現役12年。引退後も打撃投手として17年間、巨人に尽力した。「29年間ユニホームを着られたのは長嶋さんのおかげです」
OB会長の加賀谷均さん(68)は佐倉の主将時代、巨人監督だった長嶋さんから後楽園球場に呼ばれた。「『高校生は野球ばかりじゃダメ。ちゃんと勉強しなさいね』『野球上達は練習あるのみ。ノックと素振りを頑張りなさい』と。
長嶋さんが県営大宮で特大弾を放った、伝説の高3夏。くしくも千葉大会初戦の相手は千葉工だった。今年はこの1勝から、どんなドラマが生まれるだろうか。(編集委員・加藤 弘士)
◆佐倉一時代のミスター 長嶋さんは51年4月、佐倉一(現・佐倉)に入学すると、1年から遊撃のレギュラーに。だが3年夏の大会直前、三塁に転向。千葉大会では初戦(2回戦)で千葉工に逆転勝ちし、勢いに乗って4強入り。当時は埼玉勢と争う南関東大会の出場権を得た。準々決勝で熊谷と対戦。6回、県営大宮のバックスクリーンへ伝説の特大弾を放った。1―4で敗れ、甲子園には届かなかったが、一躍その名が知られることに。なお佐倉は佐倉中、佐倉一時代を含め、5度の千葉4強が最高成績。甲子園出場はまだない。