◆JERA セ・リーグ DeNA0―3巨人(12日・横浜)

 巨人が鮮やかな先制攻撃で主導権を握り、DeNAに連勝した。試合開始直後に1番・丸が右翼線三塁打を放つと、2番・佐々木俊輔外野手(25)が適時二塁打。

99秒の速攻で先制すると、先頭から6人で5安打3得点。援護を受けた先発のF・グリフィン投手(29)は6回0/3を無失点。球団の外国人では最多タイとなる開幕6連勝を飾った。チームは7月初の連勝で同1日以来の貯金1。13日は赤星を先発に立て、3連戦3連勝を狙う。

 臆することなく佐々木は仕掛けた。先頭の丸が右翼線への三塁打で出塁し、初回無死三塁で迎えた絶好機。初球だ。「初球からいけなくて結果が残せなくて(2軍に)落とされていた。打てると思った球はいこう」。真ん中高めのスプリットを逃さなかった。今季初打点となる右中間フェンス直撃の適時二塁打。

プレーボールから丸が本塁へ生還するまで、わずか3球、99秒の先制劇だ。二塁上、両手でヘルメットをたたいて満面の笑みを浮かべた。勢いに乗せられた打線は初回に打者9人で3得点。主導権を引き寄せた。

 Hランプをともし続けた。2回1死では快足を生かして二塁への内野安打。さらに5回先頭では左前へ運び、リチャードに勧められたという愛称のジョージにちなんだ“おさるのポーズ”を決めた。昨年4月28日のDeNA戦(横浜)以来となる今季初の猛打賞。阿部監督が「代打でいい働きをしてくれているので抜てきした」と説明した2番でのスタメン起用に見事に応えた。

 壁にぶち当たってきた。昨季は開幕スタメンを勝ち取りながら、シーズン中盤以降は1軍と2軍を行き来きする日々。59試合で打率2割3分1厘、0本塁打、6打点に終わった。

今季も1軍の舞台で力を発揮しきれない。「悔しい思いをしてきた」。昇降格を繰り返した。

 浮上の転機は今季2度目の降格直後だった。6月11日に出場選手登録を抹消。そのタイミングで矢野2軍打撃チーフコーチに言葉をかけられた。「(打席で)ガツガツいき過ぎなんじゃないかな」。結果を求めるあまり、冷静さを欠いていたことに気づかされた。「打ちたい打ちたいとなってブンブン振り回していた」。好機で力み倒していた己を見つめ直せた。技術面でもバットを内側から出して中堅から逆方向へ打つ意識を再徹底。ボールを捉える確率と追い込まれてからの対応を向上させた。

心技で生まれ変わった姿で4日の再昇格後は6試合で11打数7安打、打率6割3分6厘。暴れまくっている。

 チームは11試合ぶりの2点差以上の白星で2連勝。現状、外野のレギュラーは丸だけで残りの2枠は流動的となっている。同じ左打ちの外野手の乙坂の入団が決定し、フルプが支配下昇格。若林も実戦復帰を視界に捉えており、群雄割拠の争いとなりつつある。「代わりはいくらでもいると自覚して毎日必死でやっていきたい」と引き締めた背番号44。もう止まらない。確固たる居場所を築いていく。(宮内 孝太)

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