◆JERA セ・リーグ DeNA0―3巨人(12日・横浜)

 それぞれが意図を持った打席が重なった初回の攻撃だった。まずは佐々木。

無死三塁から初球の高めに浮いたスプリットを捉えた。最低でも外野フライを打ちたい場面。2番としてやるべきことを整理した上で打席に入ったと思うが、高めの確率の高い球を見逃さず積極的にワンスイングで捉えた。

 吉川も確実に引っ張る意図を持って右前安打でつないだ。さらに続く坂本の打席で二盗を決めたことも大きい。坂本も二、三塁となって前進守備を敷かない相手を見た上で右方向を狙い打って二ゴロ。2点目をもたらし、確実に三塁に走者を進め、次の打者が楽に打席に立てるシチュエーションをつくった。価値ある打席だった。得点力不足に苦しむが「こうすれば得点できる可能性が高くなる」という打席を全体で積み重ねていけば、流れが生まれる。

 この日、その流れを生んだ佐々木だが、4日に今季3度目の昇格となった。相当の覚悟で上がってきただろう。中堅から逆方向への安打も増えている。

スイング軌道に奥行きができ、これまでより追い込まれてからの対応力が向上している。ただ、それは“担保”とし、追い込まれる前に仕留められる打席が増えれば、もっと立ち位置も変わるだろう。(野球評論家・清水 隆行)

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