◆JERA セ・リーグ DeNA0―3巨人(12日・横浜)
納得してマウンドを譲った。F・グリフィン投手(29)はスッキリとしていた。
初回いきなりの援護3点。「すごく心強い」と、140キロ台後半の直球に手元で動くカットボール、2種の落ち球を組み合わせて的を絞らせなかった。DeNA戦は今季3戦3勝、19回を投げ防御率0・00。同僚に23年から同カード7連勝中の山崎がいるが、こちらも通算4勝無敗。“隠れベイキラー”が本領を発揮した。
7月時点で早くも23、24年に並ぶ自己最多タイの6勝目を手にした。
超がつくほど真面目な性格が、異国での連勝劇を支える。関東圏の球場へ行く際はタクシーではなく、あえて電車通勤を選ぶ。「交通量に左右されないし、日本の電車の効率の良さは本当素晴らしいから」と、正確な時間で移動できる手段を好む。移動時間はフル活用。手にはスマホより本を持っていることが多い。席に座れる時は「分析のため」と対戦打者のデータを詰め込んだノートを熟読している。
駅や車両で気付かれても「日本のファンは敬意のある人ばかりで、邪魔してくる人がいないんだ」と快適な通勤ライフを送る。「日本の野球や文化に適応したいから」。
一人で貯金6。自身の記録には「攻撃陣や守ってくれる野手がいての勝ち。自分一人のものにしてコメントするのは控えたい」と目もくれなかった。自打球も軽症で「大事な試合がこれからも続くから、この勢いを持続できるようにしたい」。来日3年目。頼もしさは増す一方だ。(堀内 啓太)
◆清水隆行Point グリフィンはもはや“いつも通り”と言っていい安定感だった。右打者には内角にカットボール、外角にチェンジアップと両サイドを幅広く使った投球で、それぞれの質も申し分ない出来だった。
この日で言えば、初回の3点の援護も大きかった。ボール、ボールと入るケースもあったが、その援護を勇気に大胆にゾーンを攻めてカウントを戻せていた。これが均衡した展開だと痛打を避けるためにどうしてもコーナーを突き続ける投球になり、四球につながる。