◆第107回全国高校野球選手権静岡県大会 ▽2回戦 聖隷クリストファー8-1湖西=7回コールド=(12日・浜松球場)

 2回戦16試合が行われ、この日に登場したシード8校はすべて勝利を飾った。春の県王者・聖隷クリストファーは湖西に8―1で7回コールド勝ち。

準優勝した昨夏は4番を務めた6番・渡部哉斗中堅手(3年)が初回に決勝の2点適時二塁打。左腕骨折で登録メンバーから外れた逢沢開生主将(3年)の思いを背負い、春夏通じて初の甲子園出場を目指す。

 仲間の思いをバットに乗せた。春の県王者・聖隷クリストファーの6番・渡部哉が初回1死満塁から左中間へ勝ち越しの2点適時二塁打だ。「外目のまっすぐ。来た球に反応できた」。二塁ベース上で、三塁ベンチとスタンドにいるチームメートへ向かってガッツポーズを繰り返した。

 主将のためにも負けられなかった。初戦を前に最終登録変更で、左腕を骨折している逢沢主将がベンチを外れた。組み合わせ抽選会でくじを引き、開会式では準優勝旗を持って入場行進したチームリーダーの気持ちを背負って打席に立った昨夏の4番が、一振りで流れを引き寄せた。

 春の東海大会1回戦の三重戦では、4番を務めたが無安打に終わった。大会前は主に1番だったが、しっくりこなかった。

「突っ込みがちだったので、前日に重心の位置を少し左足に残すように変えた」。最後の夏、帽子のつばに「乾坤一擲(けんこんいってき)」と記した。「運命を賭けて物事をなす」―。本番直前のフォーム変更という大きな賭けが吉とでた。

 昨夏の4番を6番で起用した百戦錬磨の上村敏正監督(68)は「絶対に打てないと思っていた。いい意味で裏切られた」と、ニンマリ。試合全体については「走塁ミスもあったし、まだまだ」と、快勝発進にも厳しい採点を付けた。

 昨夏の準V校が悲願の頂点へまずは階段を一歩上がった。「甲子園に行けば、登録変更の可能性もあるので、優勝して逢沢を連れて行きたい」と、渡部哉。チームを引っ張ってきた主将と聖地に立つためにも、背番号8がバットで勝利を呼び込む。

(塩沢 武士)

 〇…磐田南は浜松湖東に10-0(6回コールド)。磐田市内から初の甲子園を目指し、コールド発進した。

投打がかみ合い、10―0で浜松湖東を一蹴。県屈指の右腕・山田堅正(3年)が4回を3安打5K無失点。4番として2安打2打点と投打で活躍した。「投げる方は60点。ここから上げていきたい」と、振り返った。次戦は、甲子園出場経験のある藤枝明誠と対戦。「しっかりした野球をしてくるイメージがあるので気をつけたい」と警戒していた。

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