◆米大リーグ ジャイアンツ1―2ドジャース(12日、米カリフォルニア州サンフランシスコ=オラクルパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が12日(日本時間13日)、敵地・ジャイアンツ戦に「1番・投手、DH」でフル出場し、今季最長の3回、同最多の36球を投げ、1安打無失点4奪三振と好投した。チームに流れを呼び込み、連敗も7でストップ。

初回から最速99・9マイル(約160・8キロ)の直球を軸に相手打線をねじ伏せる快投を披露。完全二刀流の復活が期待される後半戦へ弾みをつけた。前半戦は残り1試合。15日(日本時間16日)にはアトランタで行われる球宴に出場する。

 真っ向勝負で大谷がジャイアンツ打線をねじ伏せた。初回。敵地で「Beat LA!」(LAを倒せ!)コールが巻き起こる中、いきなり3者連続三振を奪った。初球から7球連続。12球のうち9球が直球だった。2番のラモスはこの日最速99・9マイル(約160・8キロ)の高め直球で空振り三振。「今日はストレートで行けそうな雰囲気だったので、どんどん投げた」。前回の試合から6者連続Kというスタートを切ると勢いに乗った。

 今季5度目の登板で最長&最多の3回36球を投げて1安打無失点4奪三振。投球の63・9%の23球が直球だった。割合が半分を超えたのは、1安打完封勝利を挙げた23年7月27日の敵地・タイガース戦以来。22年頃からは横に大きく曲がるスイーパー、今季は縦のスライダーなどを効果的に使っていたが、あえて力で押した。チームの連敗を7で止める流れを呼び寄せる投球に「3イニング投げられたということはいい進歩。チームがなかなか勝てていない中で、先制点をあげなかったのはよかった」と納得の表情だった。

 直球はこれまでもこだわり続けてきた球種だ。「速い球を投げるというのは、小さい頃から憧れて、僕が好きだったのでそこを求めてやってきた」。日本ハム時代には165キロをマーク。2度の右肘手術を経ても、6月28日の敵地ロイヤルズ戦ではMLB公式戦自己最速となる101・7マイル(約163・7キロ)をマークしているが球速だけではない。プロの投手の平均が約2200と言われる直球の回転数はデータサイト「Baseball Savant」によると、エンゼルス時代の23年の平均が2259回転だったのが、この日は2413回転。「伸びる直球」で進化を続けている。

 前半戦の登板は、この日で終了。23年9月に受けた2度目の右肘手術から6月16日に電撃復帰後、イニングや球数を制限しながら、先発としての本格復帰へ順調に階段を上っている。「投げている球種に関してはいい精度で投げられている。まだ試していない球種は、今後もうちょっと長いイニングを投げていく中で、しっかり試していけばいい」。カーブはまだ1球も投げておらず、スプリットも3戦連続で投げていない。10月のポストシーズンを見据え、後半戦も慎重に球数を増やしていく方針だ。

 ロバーツ監督はご機嫌で「7連敗が止まって最高の気分。全てはショウヘイの投球から(勝利への流れが)始まった。初回は3者連続三振で流れを作って、チームを優位な状況に立たせてくれた」とたたえた。調整段階ながら、チームの空気を一変させる投球となった。(安藤 宏太)

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