◆米大リーグ ジャイアンツ1―2ドジャース(12日、米カリフォルニア州サンフランシスコ=オラクルパーク)
ドジャース・大谷翔平投手が右肘手術後最長の3イニングを投げたが、また一つ新たな姿を見せた。この日で今季5登板目だったが、投げる度に理想的な投球スタイルに近づいているように映る。
この日は36球を投げたが、そのうちフォーシーム(直球)が23球、割合にして63.9%と初めて50%を超えた。一方でスイーパーが5球(13.9%)にとどまった。直球は最速99.9マイル(約160.8キロ)と球威も十分で、近年のメジャーで有効に使いたい高めのゾーンでも空振りが奪えていた。直球はリリースポイントを高くして、上から叩くように投げるもの。フォームも安定して見えるし、コントロールもしやすくなるから球数も減る。
手術前の大谷の決め球といえば大きく横に滑るスイーパーだが、この球種は多投するとどうしても肘の位置が下がる。次の1球が抜けやすくなっていたし、肘への負担も大きかった。さらに変化も大きいため制球が難しく球数も増えてしまう。
もちろん今までのスタイルでも打者を抑えることはできていたが、肘への影響を考えると、この日くらい直球を使う投球を基本としていいくらいだ。変化球もより生きるし、長い投球回にもつながるだろう。(野球評論家・髙橋尚成)