◆第107回全国高校野球選手権岩手大会 ▽1回戦 花巻東7―1盛岡中央(13日・きたぎんボールパーク)

 岩手は、センバツで8強入りも18年ぶりノーシードの花巻東が初戦突破。巨人・古城茂幸内野守備走塁コーチ(49)の次男・大翔(だいと)内野手(2年)が「4番・一塁」で出場し、2安打の活躍を見せた。

 木製バットの乾いた音が鳴り響いた。4回無死一塁、新田光志朗右翼手(3年)の右越え2ランで先制した直後、古城が放った打球が中堅手の前で落ちた。「自分のヒットから流れが出たかな」と背番号15。この一打から後続がつながり、3点を追加。2安打1得点の活躍で、チームを初戦突破へ導いた。

 神奈川出身だが「大谷翔平選手を指導した佐々木監督の下で野球をやりたい」と、入学を決意。「本当に野球に打ち込める環境。中学の時に比べて、野球に対する意識が変わった」。冬は木製バットで1日1000スイング。マメがつぶれ手がぼろぼろになるまで、バットを振り続けた。「あの冬があったからこそ、木製バットに対応できるようになった」。たゆまぬ努力で、この日の2安打につなげた。

 高校入学時、父・茂幸さんから授かった言葉は「先輩のために、仲間のために」。チームメートを何よりも大切に、日々を過ごしてきた。「クラスではいつも中心的存在。いつも笑顔」と荒川京太捕手(2年)。多くの部員がスタンドから応援したこの日も「あの声援があったから打てた」と仲間への感謝を忘れなかった。

 センバツで8強入りしながら、春の県大会は初戦敗退。07年以来、18年ぶりにノーシードで挑む夏。1回戦から登場したのは01年以来24年ぶりだった(ともに20年独自大会を除く)。1年時には、かつて菊池雄星や大谷も背負った17番もつけた期待の2年生スラッガーは「とにかく一戦一戦勝つが目標。花巻東を背負って、次の一戦を本気で勝ちにいきたい」と意気込んだ。岩手では戦後初となる夏3連覇を、雄星を擁した07年と同様にノーシードから成し遂げる。(北村 優衣)

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