◆米大リーグ ジャイアンツ1―2ドジャース(12日、米カリフォルニア州サンフランシスコ=オラクルパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が12日(日本時間13日)、敵地・ジャイアンツ戦に「1番・投手、DH」でフル出場し、今季最長の3回、同最多の36球を投げ、1安打無失点4奪三振と好投した。チームに流れを呼び込み、連敗も7でストップ。

初回から最速99・9マイル(約160・8キロ)の直球を軸に相手打線をねじ伏せる快投を披露。完全二刀流の復活が期待される後半戦へ弾みをつけた。前半戦は残り1試合。15日(日本時間16日)にはアトランタで行われる球宴に出場する。

※ ※ ※ ※ ※

 大谷はドジャース加入2年目だが、投手としてはまだ5登板。昨季打者として大活躍しただけに、「投手・大谷」には指揮を執るロバーツ監督も興味津々だ。

 ド軍監督生活10年目を迎える指揮官だが、もちろん二刀流選手をマネジメントした経験はなく、登板日の大谷の様子を「投げる日は少しとがっている雰囲気がある。言葉にするのは難しいけど…。もちろん打者としても闘争心は強いけど、投げる日はちょっと違う。投手は流れを決める役割もある。だから切り替えているのだと思う」と明かし、「まるで別人格のよう」とまで言った。

 先発投手は大谷に限らず、登板日はピリピリとした空気を持っていることは珍しくない。

報道陣も先発投手に試合前に話しかけてはいけないのは日米共通のルールだ。毎試合出場している大谷も登板日は周囲との会話も少なく、ジョークを言い合っている姿もあまり見せず、指揮官は「登板日にはあまり彼を見ることがない。朝食の時に見るくらい。だからあまりしゃべることもない」と証言。大谷も打者では緊張しないが、マウンドに上がる際は緊張することをこれまで口にしていた。

 二刀流での活躍も、周囲が慣れてきてしまった側面もあるが、レジェンド打者を目の前にすると、大谷が唯一無二であることを再確認した。この日は、来場者にメジャー史上最多通算762本塁打を誇るB・ボンズ氏のボブルヘッド人形が配布され、ボンズ氏もグラウンドに姿を見せていた。

 ボンズ氏の現役最終年だった07年にジャイアンツで同僚だったロバーツ監督は「バリー(ボンズ)は別格の選手」とたたえながらも、「スプラッシュヒットを打った翌日に先発することはバリー・ボンズでも絶対になかった(笑)。やっぱり(大谷は)クレイジーだよ」と笑いが止まらなかった。(安藤 宏太)

編集部おすすめ