◆第107回全国高校野球選手権 静岡大会 ▽2回戦 加藤学園6―5浜松開誠館(13日、ちゅ~る)

 2回戦残り16試合が行われ、12日に続いてシード校すべてが勝利した。今春センバツに出場した常葉大菊川は静清との初戦に7―2で快勝。

2回に佐藤大介左翼手(2年)の2点三塁打で先制し、プロ注目左腕・内藤優央(まお、3年)を攻略した。加藤学園は一昨年の王者・浜松開誠館に6―5で競り勝った。エース・山田晃太郎(3年)が9回途中で左翼に回るも、再びマウンドに戻り5失点(自責3)12奪三振で“完投”した。

 余力は、1%たりとも残さなかった。9回2死満塁、追い込んだ加藤学園・山田は150球目のチェンジアップで空を切らせ、腹からほえた。「鳥肌が立った。心の底からうれしい」。一昨年王者・開誠館の前に立ちふさがり、最後の夏の一歩目を踏み出した。

 7回以降は毎回満塁のピンチを背負った。2点リードの9回、1死満塁とされたところで米山学監督(47)は「1回リセット」と右腕の佐藤透哉(1年)を2番手に送り、山田は左翼へ。だが中前打で1点差とされると、再びマウンドに呼び戻された。「後は任せろという気持ち」。

後続を二飛、三振で食い止め、27個のアウトを自分で奪い切った。

 開誠館の147キロ右腕・塚田暖琉(3年)との投げ合い。「競り負けない」と自然にスイッチが入った。初回に先制を許すも常時140キロを超える直球で押し「力を入れるタイミングを意識した」と、要所でギアを上げて12三振を奪った。春先からショートダッシュやジャンプなどで瞬発力を強化。9回には自己最速を1キロ更新する148キロをマークした。指揮官から「お前が流れを持ってこい」と指示されていた通り、ピンチを脱した際は派手なガッツポーズでチームを鼓舞し、背番号1の役目を全うした。

 5回1死一塁では狙い通りカットボールを捉え左翼に同点二塁打を放ち、送球間に三塁へヘッドスライディング。5連打で逆転の口火を切り「気持ちが楽になった」と笑った。3回戦は静岡学園と対戦。剛腕は「どんな相手が来ても勝つ」と宣言した。(武藤 瑞基)

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